孤高の陶芸家として異彩を放った金沢市の故中村梅山さんは、招待された席でも「職人の分際で…」と絶対上座に座らなかった。ただ、招かれる場にはこだわりがあり、どこが良いかと聞かれて、ある料亭の名を出した。理由は「あそこは便所がよろしい」 これは以前に鶴羽伸子さんが本紙に書いていた話だが、最後の最後にもてなす側の心が問われるのがトイレだろう。松下電工が関東と関西の夫婦に調査したところ男性も座って小用を足す人が約半数との結果が出た 都会の狭い居住空間で大小兼用トイレを使う状況から出た数字だろうか。「座りションのほうが楽」という声もある中、同社では、掃除の手間を軽くするため、清潔に使ってと女性がお願いするケースが想定されると分析する 昔、歌舞伎の女形を演じる役者は、日ごろもしゃがんで小用を足したと聞いたことがある。立ってするのが男の特権と思っている殿方は、座る傾向にため息を漏らすかもしれない とはいえ、男女の別なく、トイレ掃除を仕事の重要な要素と位置づける会社も出てきた昨今である。年末の大掃除は、お父さんもトイレ磨きに精を出してはいかが。
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