米国の信用力の低い人向けの住宅ローン(サブプライムローン)問題で、世界の中央銀行や金融当局が対応に四苦八苦している。
米国の利下げ、続く米欧中央銀行による金融市場への資金供給にも、ニューヨークや東京の株式市場は芳しい反応を示さなかった。投資家にはまだ力不足と映るのだろう。金融機関の損失拡大や株価下落と、対策のいたちごっこが続く。
いたちごっことは互いの手の甲をつねって上へ上へ重ねていく昔の遊びで、ネズミを追うイタチになぞらえたと「語源を知れば日本語がわかる」(双葉社)にある。どちらかが「やめた」というまで続けたそうだ。
サブプライム関連の記事を読んでいて、市場の判断とか選別という言葉を思う。一九九〇年初め、東京市場で株価が急落し、株価自体や地価の高騰がバブルだったと知らしめた。市場には、あしきものをあばく力がある。
今回も同じであろう。サブプライムローン債権を組み込んだ金融商品が危険なら、一時的な株価低迷などがあっても問題が片付く方がよいのではないか。現在の混乱は、市場が健全化していく過程とみることもできよう。
四苦八苦は老、病、死など人生の苦しみに由来する。「語源を知れば―」は苦しみを見極めることで平安を目指せると説いている。サブプライム問題の見極めがつかなければ、いたちごっこが続こう。