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振り込め詐欺被害回復法の落とし穴

施行にネットが不可欠な存在

谷口 滝也(2007-12-16 09:55)
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 振り込め詐欺の犯罪被害者を、裁判を経ずに簡単に救済できるようにするための「振り込め詐欺被害回復分配金支払い法」が12月14日、参院本会議で成立した。2008年夏にも被害金の返還が始まるという。

 犯罪口座にある金が、裁判を経ずに被害者に分配されるため、新聞やテレビは「大きな前進だ」と絶賛している(この新法では、警察と預金保険機構と金融機関が、協力関係にある)。

 しかし、実は落とし穴もある。

落とし穴(1)

 それは、預金保険機構が行う、犯罪口座の持ち主と被害者に向けた公告を見落とした場合には、双方に権利がなくなるという点だ。公告には、被害回復分配金の支払手続が開始されたことや、該当する犯罪口座の番号、犯罪口座の名義人などが記され、ネットで公表される。

 公告期間は、犯罪口座の持ち主が異議を唱えない限り、その権利を消滅させる期間でもある。逆に救済を望む被害者にとっても、権利を守る重要な期間なのだ。

 例外はあるが、基本的には公告期間内に被害者が金融機関(振り込め詐欺の被害にあった時に利用した金融機関)に届出をしなければ、犯罪口座の金が他の被害者に分配されることになるからだ。

 預金保険機構は、金融機関からの報告で被害者分配数を把握する。 

 法の落とし穴にはまってしまう1つのパターンとしては、振り込め詐欺の影響で一家が離散し、情報収集の気力が無くなっていた場合など、被害回復分配金を得るチャンスを逃す事も考えられる。

落とし穴(2)

 
新法の27条には、「この法律の規定による公告は、インターネットを利用して公衆の閲覧に供する方法でしなければならない」とある。

 公告期間は60日以上と決まっているが、預金保険機構がインターネットを中心に公告を行うことから、ネットに繋がる環境にない人は「情報弱者」ということになる。

 私は、こうした情報格差を生まないために、全国の役場や郵便局で預金保険機構の公告内容を紙情報として提供すべきだと思う。情報を補強して掲示してもいい。高齢者からの問い合わせに、役場の職員などがネット情報で協力することも必要だ。

 ちなみに、振り込め詐欺被害者回復法では、虚偽の被害額を書いて救済申請をしたら、50万円以下の罰金が課せられる(44条)。

 今回の新法、法案時の名称は『犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律案』だった。その内容は、日本が完全なネット社会になったことを意味するものだ。公的な重要情報がインターネット中心に流れるという流れは、今後加速して行くだろう。

 日本国民が、日本のどこに住んでいても、地域、年齢を問わずに、ネットに安価に接続できる環境を、さらに整備する必要がある。

 法律面でも、ネットの力は無視出来なくなった。日本が本当に、IT国家と呼べるような国家予算配分を持っているかについても、議論の余地がある。
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