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乱射容疑者、3友人を何度も誘う 電話・メールで

2007年12月16日09時21分

 長崎県佐世保市のスポーツクラブで散弾銃が乱射され、8人が死傷した事件で、逃走後に自殺したとみられる無職馬込政義容疑者(37)=同市船越町=が、死亡した藤本勇司さん(36)=同市鹿子前町=ら友人3人に対し、クラブに来るよう、事件の数日前から電話やメールで誘っていたことがわかった。待ち合わせ場所を指定していたという。藤本さんとともに誘い出され、事件当日現場に居合わせた同市内の男性が、朝日新聞の取材に対して明らかにした。

 男性は馬込容疑者の高校の同級生で、釣り仲間。自らの結婚式では馬込容疑者が友人代表でスピーチしたという。事件当日、現場のクラブ「ルネサンス佐世保」に誘われたのは藤本さんとこの男性らの計3人だった。

 男性によると、事件3日前の11日夜、馬込容疑者から携帯電話がかかり、「ちょっと会われんやろか。14日午後6時半から40分の間にルネサンスに来てほしい」と誘われた。翌朝も「プールの所で待っといてくれ」という内容のメールが携帯に送られて来た。その昼にも携帯に電話があり「場所わかるか」と確認されたという。

 男性は14日午後6時15分ごろクラブに到着。フロントに「待ち合わせしているのでプールサイドに行きたい」と言うと、「聞いていないので入れません」と断られた。

 藤本さんは同6時40分ごろ到着した。男性は藤本さんとは顔見知り程度の間柄だったので一緒に待つことはしなかった。

 男性がフロント前のベンチに座っていた午後6時40分すぎ、馬込容疑者から携帯に電話があり、「もう着いたや」と聞かれた。「フロントが通してくれない」と答えると、馬込容疑者はフロントに代わるよう言った。フロントの男性は馬込容疑者と話した後、男性に「原則として正会員と一緒でないと入れない」と、改めて告げた。

 同じ頃、藤本さんには別のスタッフが対応。一緒にプールサイドに向かっていった。

 午後7時すぎ、迷彩服の男が入ってきた。顔がよく見えず、馬込容疑者とは気づかなかった。同じ迷彩柄の布で包んだ約1.5メートルの細長い棒のようなものを持っていた。

 5分ほどすると「パン、パン」。奥から2、3回音がした。男性は外の駐車場へ逃げ出した。馬込容疑者の携帯に電話したが、出なかった。

 男性は馬込容疑者の家に電話。出た母親に「待ち合わせをしてる」と伝えると、母親は「午後4時半から就職の面接に行っているので、ルネサンスには行っていないはず」と答えた。「もう1人も待ち合わせしてるようだ」と伝えると、母親は事件に触れ「実は息子は家に銃を持っている。まさか犯人では」と心配そうに言ったという。

 「警察から『あなたもプールサイドに行っていたら撃たれていたでしょう』と言われ、ぞっとした」と男性は語る。「仲の良かった3人を呼び出し、道連れにして自殺しようとしたのかもしれない。寂しかったのか」

 ルネサンス社によると、馬込容疑者は正面玄関から侵入後、待ち合わせ場所に指定したプールの方へまっすぐ向かったとみられる。事件では水泳コーチの倉本舞衣さん(26)も殺害された。

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