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北朝鮮が中国国境に鉄条網 北京五輪に配慮か
このニュースのトピックス:ウイークエンド「MSN産経ニュース」
北朝鮮が中朝国境に長距離に渡って鉄条網を張り巡らしている写真の撮影に、山梨学院大学経営情報学部の宮塚利雄教授(朝鮮近代経済史)夫妻が成功した。脱北者防止策として設置したとみられるが、宮塚教授は北京五輪前に神経をとがらせる中国への配慮とみている。
撮影は中国・遼寧省丹東市郊外の万里の長城の東端が遺跡として公開されている「虎山長城」の頂上から行われた。昨年の北朝鮮の核実験以降、中朝関係がギクシャクして、中国側に鉄条網が部分的に張られ、写真や映像に収められたが、北朝鮮側に張られた鉄条網の写真は珍しい。
北朝鮮側は今年8月以降、国境を流れる鴨緑江(アムロクガン)を隔てて、中国側の鉄条網と対面する形で、鉄条網を張り始めたという。高さはほぼ同じくらいだが、資材不足からか、有刺鉄線ではなく、針金を通しただけのものだ。宮塚教授は「数十キロはあり、電流を流している個所もあるのではないか」と推測している。
鴨緑江(アムロクガン)は川幅が10メートル程度の所も多い。昨年の核実験前までは中国側の売店の店員からアイスクリームやタバコを買うと、「おーい」と対岸から北朝鮮の国境警備兵を呼んでくれ、買ったものを差し出せば、警備兵らは握手にも応じていたという。かつて握手したことがある宮塚教授は「手袋に穴が空いていた」と証言している。
今回、北朝鮮側が鉄条網を敷設したことについて、宮塚教授は「中国の有刺鉄線設置を脱北問題への圧力と受け取った北朝鮮が、北京五輪をひかえる中国に対し、こちらもちゃんと脱北対策をしているとアピールしている」とみている。