県が医師を採用し、県内各地の公立病院に派遣するドクタープール制度で、医師の応募が開始から5カ月たってもゼロだったことが分かった。県医務課は「全国の病院で医師不足が進むうえ、医局の関連病院への派遣が大勢を占めることも影響している」と分析し、利用がないことに頭を悩ませている。
県医務課によると、同制度は県内各地の公立病院の医師不足を補おうと7月に始めた。期間は3年間で、職務能力を向上させるための1年間の研修と、県内の病院での2年間の勤務がセットになっている。県外の大学や病院に利用を呼び掛けているが、現時点では応募はない。
同課は「今年度中は各方面に働きかけを続けるとともに、医師の要望に即し、研修の質を高めたり、派遣期間の短縮など、工夫ができないか検討したい」としている。
一方、将来に一定期間(2年半~9年)、県内で勤務する意思のある医学生に対して奨学金(月額5万円か13万円)を貸与する事業について、県は山梨大や県外の大学の医学生から153人の応募があったことも明らかにした。県外大学に在籍している医学生の応募はわずか16人(約10%)で、うち15人はUターンを希望する県内出身者だった。
同課は「県外出身で県外大学に通う学生の呼び込みは難しい」と話している。【宇都宮裕一】
毎日新聞 2007年12月15日