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社説:ミス相次ぐ県庁 認識甘く対応が後手に

 県の危機管理は一体、どうなっているのか。9月以降、職員の不祥事や事務ミスが7件も連続して明るみに出るという異常事態だ。県民の不信感も募っている。どこに問題があるのか、あらためて職員のモラル向上やモチベーションを高める方策、さらに業務の再点検などを通して信頼回復に努めるべきだ。

 秋田中央道路の地盤沈下という重要事項の知事への報告の遅れが公表されたのは、9月19日のことだった。以来、県立リハビリテーション・精神医療センターの医療情報システムの不適切契約、用地買収の不適切な事務処理、母子寡婦福祉資金の利息計算間違い—など不祥事や事務ミスがわずか3カ月間で7件も公表された。どんな仕事にもミスはつきものではあるが、こうも相次ぐと、県の組織運営そのものに何らかの欠陥があると言わざるを得ない。

 用地買収問題は、河川改修のため地権者に支払われた約300万円を担当職員が「間違って振り込んでしまった」とあたかも「公金」の回収であるかのように装って保管、つじつま合わせのため虚偽の契約書を作成していたというものだ。担当職員は昨年1月、約300万円を受け取り、翌月に約150万円を返済したが、残り約150万円は今年9月に地権者が県に問い合わせるまで返済していなかった。担当職員は「仕事に使った」としているが、県の調査ではそういう事実もなかったという。

 県は担当職員を先月末、地方公務員法違反(信用失墜行為)で懲戒免職処分にしたが、真相を解明しないままの「クビ切り」に等しい。たとえどんな事情があろうとも、1年半以上も地権者にうそをついて受け取った金を返さなかった事実は、世間一般では犯罪の疑いのある行為だろう。県は刑事告訴も考えていないというが、これでは県民の不信感はぬぐえない。

 また、医療情報システムの導入と保守管理の不適切な事務処理では15人が処分された。システムが導入されたのは15年度。同システムのテストランが失敗したにもかかわらず、システム構築を続行したのが問題の始まりだった。不完全システムのまま業者に代金を払い、さらに保守管理契約を結んだ。同システムは現在も不具合があるといい、病院業務に支障を来している。

 こうした不具合について業者側から「県側の一方的な責任のお仕着せ」と反発が出ているが、県は処分を経て今度は業者側に損害賠償を請求する方向で検討している。いずれにしても、人事異動もあって問題の責任の所在があいまいだったのも事態を悪化させた要因だろう。

 県は連続する不祥事や事務ミスを受け、今月から「緊急プログラム」として管理職による職員の動向の掌握や業務の進行管理を実施している。再発防止を徹底してもらいたい。

 一連の問題は、実態把握の遅れ、問題の重要性に対する認識の甘さが大きな要因。要は管理職の組織マネジメントの弱さに行き着く。ミスや不祥事を速やかに把握、公表するのは今やどんな組織にとっても危機管理の重要な点だ。対応が後手に回るほど事態は深刻さを増す。

(2007/12/15 11:03 更新)

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