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【静岡】

静岡・調整池にNHK契約ヘリ墜落 1人死亡1人重傷

2007年12月11日

静岡ヘリポート近くの池に墜落したヘリを調べる警察官ら=10日午前11時15分、静岡市葵区で

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 9日午前10時55分ごろ、静岡市葵区諏訪の静岡ヘリポート近くの麻機調整池に、NHKが契約しているオールニッポンヘリコプター(東京都江東区)のヘリコプターが墜落した。乗員2人のうち、機長の神奈川県相模原市東淵野辺4の22の7、小宮義明さん(57)が全身を強く打って約1時間半後に死亡。整備長の同県茅ケ崎市南湖3、亀山幸代さん(33)は全身打撲などで重傷を負った。

 墜落直前、機体を安定させる方向舵(だ)の後部回転翼(テールローター)の異常を伝える連絡がヘリからあり、静岡中央署は10日以降に機体を回収して原因を調べるとともに、業務上過失致死傷容疑で9日、同社の家宅捜索令状を取った。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も調査官3人を現地に派遣し10日午前、調査を始めた。

 調べなどによると、ヘリはユーロコプター社(フランス)製で中型機のEC135T2型。NHK新潟放送局が取材用に使っているが、年1回の検査のため、伊丹空港(大阪府)に向けて9日午前10時ごろ、東京ヘリポート(東京都)を出発。給油のため、同10時45分に静岡ヘリポートに着陸する予定だった。

 事故の約10分前、小宮機長から亀山整備長を通じてオールニッポンヘリコプターに「テールローターが操縦不能」「(テールローターを操作する)ラダーペダルの調子がおかしい。着陸が不安定になるかもしれない」などと無線連絡があった。

 ヘリは墜落現場上空でキーンという異音を発し、機首を左右にふらつかせながらスピードを低下。数秒間ホバリング(空中で静止した状態)した後、水平方向に反時計回りで回転し、きりもみ状態で墜落したという。後部回転翼が停止していたとの目撃情報もある。

 ヘリは出発前の点検で異常はなかったという。小宮機長は飛行時間5700時間余のベテラン。

 静岡地方気象台によると、静岡県中部南エリアは事故当時、強風注意報が出ていたが、午前10時55分の平均風速は南南西の風毎秒2・3メートルで強くなかった。

 現場は、JR静岡駅北約6キロにある静岡ヘリポートの南西約500メートル。周辺は田畑や空き地で民家はほとんどなかった。

 EC135型機 世界最大のシェアを誇るユーロコプター社製で、全長約12メートル、機体重量約1・5トン。約630馬力のエンジン2機と、直径約10メートルの回転翼を2枚搭載している。乗員人数は7人で、航続距離は最大約625キロ。報道用やドクターヘリなどとして、11月末で全国で39機導入されている。事故機の通算飛行時間は1390時間45分だった。

 

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