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北九州の肺がん男性、原因はアスベストだった…自ら解明、労災認定


がんと闘いながら石綿の危険性を訴える山本さん(北九州市小倉南区で)

 「私のような患者がまだたくさん埋もれているはずだ」。建設現場で働き、肺がんを患った福岡県建設労働組合小倉支部書記長山本清文さん(59)(北九州市小倉南区)は医師から「喫煙が原因」と言われたが、納得できず、自ら組織検査を申し出て、アスベストとの因果関係を明らかにした。

 がんはリンパ節や脳に転移、リンパ節がはれて声も満足に出ないが、「アスベストの危険性を伝えるのは私の使命。死ぬわけにはいかない」と、かすれた声で訴える。

 北九州市内の工務店で約40年間働き、アスベストが使われた防火、防音材などの建材を取り扱った。床にたまった綿ぼこりを掃くと、糸のようなものがきらきらと輝きながら舞った。「今考えると、あれがアスベストだったんだ」

 2005年6月、大手機械メーカー「クボタ」(大阪市)の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺住民らのアスベスト被害が発覚した“クボタショック”を契機に、アスベストが様々な建材に使われていることを知った。「自分も吸っているかもしれない。いつかは自分もがんになるのではないか」と暗い予感に震えた。

 昨年秋、定期健康診断で肺がんの疑いを指摘され、今年1月、北九州市内の医療機関でがんと診断された。その際、医師は「たばこが原因ですね」と言った。

 山本さんは、建設現場での経験を医師に話し、「自分の肺を切り取って調べてほしい」と申し出た。2月に手術を受け、摘出された肺の一部を検査したところ、多量のアスベストが発見された。「肺は石綿で真っ白でした」。医師は山本さんにこう告げた。

 検査で因果関係がはっきりし、工務店での職歴も証明され、8月に労災と認定された。「この経験を仲間にも伝えたい」と歩き回り、組合を通じて体験談を語る日々だ。



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