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【主張】中華航空機炎上　ハイテクの死角見逃すな

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08/25 05:05更新

　那覇空港で起きた中華航空機の炎上事故は、主翼にあるスラットと呼ばれる高揚力装置のボルトが脱落し、燃料タンクに突き刺さって穴を開け、その穴から漏れた燃料がエンジンの熱で気化して出火した。これが国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が明らかにした事故原因である。

　事故機は最新の航空技術の粋を集めたハイテク旅客機だ。それを１本のボルトが爆発炎上させたことになる。ハイテクの死角である。国交省は事故機と同系の機体を運航する国内の航空会社にスラットのボルトを確認するよう緊急点検を指示した。

　当然の措置だろう。航空会社はこれに限らず、日ごろから十分な整備・点検を実行すべきである。

　事故機の同型機は過去にスラットからナットが外れる同様の不具合が２件あり、１件は燃料タンクが破れ、燃料が漏れた。ボーイング社は各国の航空会社に注意を喚起していた。

　中華航空もこれに対応していたというが、指示通りにきちんと整備・検査したのだろうか。今後の事故調査の大きなポイントになる。ボルト脱落の経過や構造上の問題の有無も重要だろう。これらを解明し、早く再発防止に結び付けることが肝要である。

　事故翌日、事故機の垂直尾翼にある梅の花のマークや胴体の英語の社名がペンキで塗りつぶされた。中華航空が企業のイメージダウンを恐れたらしい。事故調の許可を得たというが、まずは安全対策が先ではないか。本末転倒である。

　間一髪で難を逃れた脱出時の対応にも批判の声が上がっている。乗客が「煙が見え、炎も出ている」と伝えても、乗務員は「大丈夫。これは車輪の煙」と説明するだけで、緊急の機内アナウンスもなかったという。

　中華航空は１３年前に名古屋空港で事故を起こした後も、台北国際空港で着陸に失敗している。５年前には空中分解する事故を起こし、事故の度に２００人を超す死者を出している。

　普通、事故を体験した航空会社は安全運航に神経を使う。ところが、中華航空は事故の経験が再発防止につながらない。安全意識が低すぎないか。それを自覚して事故を繰り返さないエアラインに生まれ変わってほしい。

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