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阪大病院:太ももの筋肉を培養、心臓に張り付け機能回復

 拡張型心筋症という重い心臓病を発症した男性患者(56)が、本人の太ももの筋肉から採取した細胞を心臓に張り付ける新治療を受け、大阪大病院(大阪府吹田市)を20日退院することになった。阪大病院と東京女子医大の共同研究。研究グループによると、拡張型心筋症の一部の患者が、心臓移植なしで回復できる可能性が出てきたという。

 拡張型心筋症は心臓の筋肉が薄くなり、全身に血液を送る力が落ちる病気。男性は昨年2月に入院し、補助人工心臓を装着された。今年に入って、男性の太ももの筋肉を約10グラム切り取り、傷ついた筋肉を回復させる「筋芽(きんが)細胞」を分離。シャーレで約2週間培養した後、直径4~5センチ、厚さ約0.05ミリのシートを作った。

 5月に、シート約20枚を、心臓の外側にうろこ状に張り付ける手術を実施。心臓が自力で送り出す血液の量は大幅に増え、正常に近くなった。9月に補助人工心臓を外した。今後、さらに5人に同様の治療を行い、安全性と効果を調べる。

 阪大心臓血管外科の澤芳樹教授は「患者の心臓は、補助人工心臓の効果でやや回復していた。張り付けた細胞の出す物質が、回復を後押ししたのではないか。良い補助人工心臓がない子どもに役立つ治療法にしたい」と話している。

 自分の細胞を使う心臓病の治療として、埼玉医大が05年、重い心筋梗塞(こうそく)の患者に対し、骨髄細胞を心臓に注入する方法を実施し、患者は退院した。また阪大でも04年、心筋梗塞の患者に骨髄細胞と筋芽細胞を移植する治療を行い、心臓の機能が改善した。【野田武】

毎日新聞 2007年12月15日 20時09分 (最終更新時間 12月15日 20時40分)

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