民事訴訟で、一方の当事者が持つ預金口座の取引明細について、相手方が開示を求めた場合、金融機関は守秘義務を理由に拒否できるのか。

 この問題が争われた裁判で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は13日までに「金融機関は、顧客との関係で守秘義務を認められるにすぎず、顧客自身が訴訟当事者として開示義務を負う情報なら開示するべきだ」との初判断を示した。

 その上で、守秘義務を理由に申し立てを退けた名古屋高裁決定を破棄、開示を命じた名古屋地裁の判断を支持する決定をした。決定は11日付。

 遺産相続をめぐる訴訟で名古屋市の男性ら3人が、別の相続人が持つ口座の取引明細を岐阜信用金庫(岐阜市)に開示するよう申し立てていた。

 決定によると、申立人らは、2003年に死亡した男性の遺産の一部を相続したが、別の相続人が不当に高額な遺産を受け取ったとして、返還を求め提訴。訴訟の中で、岐阜信金にあるこの相続人の口座の入出金を確認するために必要として、1993年以降の取引履歴の明細書を裁判所に提出するよう求めた。