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北朝鮮映画の著作権、保護義務なし 北朝鮮側の請求棄却

2007年12月14日19時17分

 国交がない北朝鮮の映画の著作権を日本国内で守る義務があるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(阿部正幸裁判長)は14日、「北朝鮮との間に著作権保護を定めた国際条約上の義務はない」と判断し、テレビ放映の差し止めなどを訴えた北朝鮮の行政機関側の請求を棄却した。

 北朝鮮文化省傘下の行政機関「朝鮮映画輸出入社」と、同社と映画著作権について契約している「カナリオ企画」(東京)が日本テレビとフジテレビを相手にそれぞれ提訴。両社がニュース番組などで北朝鮮の映画を無断で放送したと主張した。テレビ局側は「北朝鮮は国家として承認されていない」との理由で保護する義務はないと反論していた。

 日本と北朝鮮は「同盟国の国民の著作物の著作権が保護される」としたベルヌ条約に加盟している。判決は、北朝鮮が条約に加盟していても、国交のない日朝間では保護義務が生じないと判断。国家として承認していない国との間の条約上の義務について「集団殺害や拷問の防止など、普遍的な国際公益の実現を目的としている場合」には例外的に適用される余地があることにも言及したが、ベルヌ条約上の著作権保護はこうした場合にあたらないとして保護義務はないと結論づけた。

 「カナリオ企画」の小林正夫代表は「日本の著作権者の権利を見放した判決。北朝鮮側で日本の作品が使い放題になっても、何も言えなくなってしまう。ほかの著作権者の権利を守るためにも控訴する」と話した。

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