流血の惨事から一夜明け、容疑者は自ら命を絶った--。長崎県佐世保市名切町のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で2人死亡、6人が重軽傷を負った乱射事件は15日未明、突然結末を迎えた。自殺したとみられるのは、被害者の1人と中学校の同級生だった馬込政義容疑者(37)。容疑者の死亡でさらなる危険が消滅したことに付近の住民は胸をなでおろす一方、「いったい、なぜ乱射を」という疑問と、遺族の深い悲しみが残った。
「何かやるんじゃないか、とは思っていたが、まさかこんな……」。馬込政義容疑者の自宅近くの住民は絶句した。60代の女性は「猟もしないのになぜ、銃を持っているのか、と思っていた」と話し「仕事はどこに行ってもクビになっていたようで、長続きしなかった。小さい時は、しっかりあいさつしていい子で、こっちも『まさ君』『まさ君』と呼んでいたのだが……」。
近所に住む人たちによると、馬込容疑者は父母と妹、弟の5人家族。父親は元市役所職員だった。地元の小中高校を卒業後、県外の専門学校などに通い、10年ほど前に実家に戻ったという。近所の女性は「亡くなった藤本さんとは中学の同級生。仕事に就いても1、2カ月で辞めてしまうようだった。夜中に突然トイレを借りに来て怖いので、ゴルフクラブを玄関に置いたりしていた」と話した。
近隣の会社役員(67)は「銃を持って裏山をうろうろしていた。『銃を持たせていいのか』と交番に苦情を言ったが、請け合ってもらえなかった」と打ち明ける。「(馬込容疑者から)『あんたが悪口を言うから就職できない』と言われたこともあり、被害妄想の塊のようだった。自宅の離れにこもり、金遣いが荒く、熱心なカトリック信者のお母さんも悩んでいたようだ」と話した。
馬込容疑者が01年8月から半年ほど看護助手として勤務していた佐世保市内の内科医院の関係者は「仕事ぶりは可もなく不可もなかった。思いやりが無く、注意すると逆に怒り出すこともあった」と話した。
事件があったスポーツクラブの運営会社によると、馬込容疑者は今年6月、プールやウェイトトレーニングなど館内すべての設備を利用できる正会員に登録し、8月から利用を開始した。週に4日は通っていたという。
毎日新聞 2007年12月15日 11時13分 (最終更新時間 12月15日 14時35分)