2.研究
最新論文 「有機農業と循環型社会について」(『香川大学経済論叢』第80巻第3号)
というのが、香川大学で行われることになったようで、その回答者にたまたま私が当たってしまったらしい。アンケート用紙が配付された。
まじめな私は、きちんと答えようと思って、回答を始めたのだが、途中から、「この質問は一体何だ!」という感じになってきた。
全部は掲載できないが、Q4は、
「香川大学、岡山大学、徳島大学、愛媛大学、立命館大学、関西大学のイメージとして当てはまるものをすべてお知らせ下さい」となっていて、
「1 理工系が強い」
「2 医学系が強い」
「3 経済系が強い」
「4 法学系が強い」
「5 教育系が強い」
「6 語学教育が優れている」
とあり、その後は、
「7 全国的に有名である」
「8 地元で有名である」
「9 難関である」
「10 県外からの学生が多い」
とある。
たとえばその大学に医学部があっても、それが強いかどうかを経済学部の人間がどうしてわかるのだ! たとえば岡山大学とか徳島大学とかの医学部に伝統があることは聞いているが、そんなことはわれわれに聞くべきことじゃないだろう。われわれは学者だ。学者なら、何事も客観的な根拠に基づいて判断すべきじゃないか。客観的な根拠がないのに、どうして答えられるのか。
そんな程度のいい加減なアンケートなら、新聞やテレビがやるように、街頭で聞いたらいいだろう。
更に、「県外からの学生が多い」かどうかは調べればわかることだろう。質問する意味がない。
更に、回答しようがないような質問が出てきて、
「14 教授陣が優れている」
「15 基礎研究に力を入れている」
「16 実学的な教育内容に力を入れている」
「17 ユニークな教育を取り入れている」・・・
そんなの、誰が知っているの?という感じである。電通にさまざまなことをやってもらうようで、まさに、大学をイメージとして捉え、それに基づいて大学改革を成し遂げようというのであろう。
Q5はもっと答えられない。「Q4とは異なった観点から各大学のイメージについてお伺いします」とあり、
下の表のなかの左側(たとえば「パワフルな」)をAとし、右側(たとえば「弱々しい」)をBとする。そして、「Aに非常に近い」を1、「ややAに近い」を2、「どちらともいえない」を3、「ややBに近い」を4、「Bに非常に近い」を5として、次のなかの1〜5までのうちから選択させる。
(1)パワフルな−1 2 3 4 5−弱々しい
(2)主張のある−1 2 3 4 5−流されやすい
(3)先進的な−1 2 3 4 5−古臭い
(4)柔軟な−1 2 3 4 5−堅苦しい
(5)楽天的な−1 2 3 4 5−理屈っぽい
(6)繊細な−1 2 3 4 5−粗野な
(7)気配りのある−1 2 3 4 5−ひとりよがりの
(8)一貫した−1 2 3 4 5−変わりやすい
(9)誠実な−1 2 3 4 5−いい加減な
(10)有能な−1 2 3 4 5−頼りない
このあたりに来て、私のペンは完全に止まってしまった。大学が「柔軟な」「楽天的な」「繊細な」「気配りのある」ということは、一体どういうことを意味しているんだ。たとえば関西大学が「柔軟な」か「堅苦しい」か、どうしてわかるのだって、ね。
全入時代を迎え、大学のイメージは大事になってきてはいる。しかし、イメージにしたがって、大学を改革できるのかというのは誰もが考えることだろう。少なくとも、大学人なら、である。やるべきことは、外からどうみられようとやらざるを得ないし、それをやらないと、結局、長期的には学生の人気が高まることはないのだ。
こんなアホなアンケートを誰が考えたのだ!!
さて、それで、わが輩はどうしたか。道は、三つある。(1)提出しない。(2)提出するが、当たり障りのないような回答を書いておく。(3)どこにも印をつけないで、白紙で提出する。
(1)をやると、出していないことがわかるようになっているため、再度請求が来る。それで、「こんなアンケートは納得できない」と言い張ると、喧嘩になり、経済学部におそらく迷惑がかかる。昔なら、それでも構わん、俺は俺だ!というところだが、もう辞めていく身、もう少し、大人にならなきゃ、なあ。
(3)がいいなあと後から思ったんだが、途中までは、まじめに回答しようと努力したため、いまさら白紙にはできなくなってしまった。
そこで、(2)しかない。香川大学の改革の方向に影響しないような回答を一生懸命考えながら、回答することとした。というのは、終わりの方に、「今後、香川大学にどのような学部・学科を設けるべきだと思いますか」とか「次の中から、香川大学に設置すべきと思う専門分野を・・・お知らせ下さい」という質問があり、この回答から、今後の改革方向を取り出そうとしていることは明らかであるからである。しかも、そこに抱えている選択肢のなかに、すでに一定の方向性が入っているから、もう大学執行部の思う通りの結果になることだろう(結果が思う通りでなければ、その分だけを無視すればいいし、な)。
実に、くだらんアンケートだった。
こんなところに書いて、経済学部に迷惑がかかるかもしれないが、そうでもしないと納得できないことであった。