「千葉の図書館で古里の新聞を手にして以来、連載を愛読しています」「娘が嫁いでいく時に持たせようと、わが町の風景がつまったこの連載をノートにスクラップしています」
本紙倉敷市民版、倉敷総社圏版に連載中の企画「くらしき百景」に県内外の読者から寄せられた手紙の一部です。倉敷市内のお気に入りの風景を読者から推薦してもらい、倉敷ケーブルテレビなど地元放送局と連動して週一回のペースで紹介してきました。
二〇〇六年一月、市民参加型を柱に連載をスタートさせた時には、“倉敷限定企画”に対して果たして推薦の応募が来るかどうか、不安を抱えながらの取り組みでした。それがふたを開けてみると、手紙やファクス、メールが次々と倉敷支社に届き、連載二年目で百通をはるかに超えてしまいました。風景のスケッチや写真を同封した方もあり、地域への愛着ぶりがうかがえます。
操業ラッシュに沸いた水島コンビナートで働くため降り立った倉敷駅、消えつつあるイグサ田、少年時代に泳いで遊んだ酒津の配水樋(ひ)門…。どれも観光地の絵はがきのような絶景ではないかもしれませんが、ロケに同行していただいた推薦者の方々がテレビカメラや新聞記者を前に、思い出あふれる風景について熱い口調で話すのが、印象に残っています。
あす十六日付で「くらしき百景」は百回を迎え、完結します。エリア外の方は山陽新聞社のホームページで読めます。読者の方々に背中を押され、ここまでたどりついたことをこの場をお借りして感謝申し上げます。
(倉敷支社・高見幸義)