米大リーグの薬物使用の実態に関する最終報告書が13日(日本時間14日)、ニューヨークで発表され、現役のスター選手を含む86人の選手が実名入りで挙げられた。その中には、日本のプロ球団でプレーする選手の名前もあった。薬物汚染を「対岸の火事」として見つめていた日本球界も14日、太平洋を越えて飛んできた火の粉に戸惑いを隠せなかった。
03年から阪神の中継ぎ投手として活躍するジェフ・ウィリアムス投手(35)は、薬物の違法販売で逮捕されたメッツ元球団職員とのかかわりの中で名前が挙がった。
阪神の南信男球団社長は「我々はジェフ(ウィリアムス)を信じている」と強調した。本人はすでに離日しているが、連絡を取った渡米中の球団渉外担当者によると、本人は明るい声で「いつでもチェックしてもらって構わない。私はクリーンだ」と話したという。
だが、購入の事実関係について南社長は「(ウィリアムスが)代理人からノーコメントにするようにと言われており、米国(での調査)の推移を見守るしかない」と、あくまで待ちの姿勢だ。
アダム・リグス内野手(35)もメッツの元職員がらみで名前が挙がり、ヤクルトに入団した05年11月まで薬物を購入したとされる。ヤクルトは米国側代理人、本人とも連絡が取れず、鈴木正社長は「寝耳に水。事実でないことを願うばかり」と事実確認に追われた。
7年間所属した西武を退団したアレックス・カブレラ内野手(35)はダイヤモンドバックス時代の00年、クラブハウスにあった荷物に筋肉増強剤などの禁止薬物が入っていたと報告された。
西武の前田康介球団本部長は「大変驚いている。報告書すべてに目を通しておらず、状況を把握できていない」と混乱ぎみ。すでに退団していることもあり、過去の薬物使用の有無などは「調査しない」という。
日本プロ野球組織(NPB)の根来泰周(ねごろやすちか)コミッショナー代行は「(日本のプロ野球界では薬物検査を)ちゃんとやって問題ない。うちの組織としては、監視は行き届いている」と話した。
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