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 2007年12月14日(金)
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県内ドラッグストア業界 全国最大の激選区
薬事法改正に向け課題

 

 今年七月に市場規模が三兆円を突破するなど、高度成長を続けるドラッグストア業界。しかし、〇九年予定の薬事法改正に伴い、他業態の参入が見込まれ、新たな経営モデルの構築が課題となっている。ぶぎん地域経済研究所(松島博社長)は初めて同業界に焦点を当て、県内の状況を調査。埼玉県は店舗数、市場規模とも全国最大の激戦区で、ドラッグストアが県民の生活に深く関わっている実態が浮き彫りとなった。

 日本ホームセンター研究所がまとめた「ドラッグストア経営計画二〇〇八年版」によると、県内の店舗数(屋内売場面積九十坪以上)は、七月現在で六百七十六店と全国トップ。統計を取り始めた九五年(百十店舗)から一位を保っている。

 市場規模でも、九七年以外は首位の座を維持。七月現在では二千六百四億円に上り、二位の千葉県に約六百四十億円の大差を付けた。

 年商額の上位企業は、セイムスを展開する富士薬品(さいたま市大宮区)が約九百十八億五千万円と県内一で、全国でも九位にランクイン。県内二位のウエルシア関東(同市見沼区)は約八百七十億円で全国十位に入った。県内の店舗数でもセイムスは百三十一店と最多で、ウエルシアは二番目の八十七店。業界トップのマツモトキヨシ(千葉県)はこれに次ぐ八十店だった。

 一店舗あたりの商圏人口でみると、二万人以上と回答した企業が八割を占める中、埼玉県は一万四百八十一人と全国最少レベル。市町村の店舗密度(域内に五店舗以上)の第一位は嵐山町で三千八百九十五人、二位は北本市で五千三百九十人、三位は伊奈町で六千四百二十八人の順となり、舗が過密状態になっていることが分かる。

 ドラッグストア業界はこれまで、食品や日用品の安売りで集客を図り、利益率の高い医薬品や調剤の販売に結び付けるという戦略で順調に成長してきた。しかし、今後の懸念材料として薬事法の改正がある。これまでの薬種販売業者に代わって、取得しやすいとされる「登録販売者」が創設され、この資格を取ればリスクの低い大衆薬を販売できるようになる。

 同研究所は「薬事法の改正でスーパーやコンビニ店など他業態が参入してくる可能性が高い。今後は男性客や高齢者を取り込んだ戦略や、健康・美容などサービス業を視野に入れた新たな経営モデルの構築が求められる」としている。

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