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最終製品の品質やコストに大きな影響を与える射出成形の解析に挑戦。 |
私が所属している生産技術研究室では、次世代に向けた高機能な樹脂製品を生み出すための材料開発や成形プロセスの開発などに取り組んでいます。その中で私が担当しているのは、射出成形と呼ばれる方法でつくられるプラスチック製品の「樹脂流動解析」に関する業務。具体的には、コンピュータを使って射出成形のシミュレーションを行なうことで、金型設計に必要となる詳細データを導き出しています。 念のため、射出成形とは、様々な製品の原型となる金型に溶けた樹脂を流し込み、冷やして固め、製品をつくっていく手法のこと。言葉で説明するのは簡単ですが(笑)、樹脂を注入する位置や圧力の加減によって、生産効率のみならず、品質やコストにも大きな差が出てくるため、解析といっても一筋縄ではいきません。 実は、私たちの身近にあるプラスチック製品の多くは、この射出成形によってつくられています。つまり、大量生産にもっとも適した方法なのですが、万一、金型に不備があれば、最終製品の外観不良など様々な問題を引き起こします。そこで事前に樹脂材料の特性をチェックし、シミュレーションを繰り返すことで、金型設計や生産技術の支援を行なっているのです。
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発展途上にある「樹脂流動解析」の精度を極限まで高めるために試行錯誤。 |
当社の技術を語る時、一般には馴染みのない専門用語がドンドン出てくるので、少し戸惑う人もおられるでしょう。しかし私自身、入社してから初めて知ったことも多いので、あまり心配する必要はありませんよ(笑)。大切なことは好奇心や探究心、そして何よりも、モノづくりが好きなことです。 私も、モノづくりに対する興味は誰にも負けないと思っていたのですが、コンピュータを駆使した「樹脂流動解析」の手法など、学生時代はまったく知りませんでした。そのため、1年目は試行錯誤の連続。そもそも解析を行なうためには、金型製作の知識やノウハウが必要となります。入社当初は上司や先輩、そして現場の声などにも耳を傾け、少しずつ慣れていきましたが、射出成形にしろ、金型にしろ、とにかく奥深い世界です。 ところでコンピュータによる解析というと、すべて自動的に解答が導き出されるようなイメージもあるでしょう。しかし、解析された結果を最終的に判断するのは人間です。しかも、当社に限らず、「樹脂流動解析」そのものが発展途上にある領域なので、精度を高めていくのは至難の業。解析ソフトの特性を把握し、操作方法を習得するのは当然ながら、製造現場のノウハウなど、あらゆる知識や経験が問われます。 |
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入社4年目で、改めて感心するスターライト工業の技術領域の広さと深さ。 |
入社以来、今年で4年目を迎えますが、実に様々な製品の「樹脂流動解析」を行なってきました。比較的、多かったのは自動車関連製品ですね。特に、内装材として数多くのプラスチック製品が使われていますが、高品質を売り物にしているだけに、わずかの外観不良も許されません。しかも、それぞれ形状が異なるため、私としては苦労の連続でした。 また案件によっては、非常にタイトなスケジュールで解析結果を求められたケースもあったのですが、苦労が多いほどヤリガイは大きく、後々まで印象に残るものですね(笑)。そもそも私が当社を就職先に選んだ理由の一つは、手がけている製品が広範囲に及んでいることでした。 「こんなモノまでつくっていたのか」と感心するだけでなく、「世の中にこんなモノがあったのか」と驚くことも。例えば、普段は見慣れているはずのプリンターでも、中身を覗くと、それまで見たこともないようなパーツで構成されています。しかも、その部品に当社の技術が活かされているのですから、これはちょっと感動ですよ。 当面の目標は、解析精度を向上させるための手法を、新たに自分で確立させること。そして、生産現場の方々をはじめ、多くの人から信頼される解析技術者になることですね。 |
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松原さんの仕事風景 |
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松原さんに課せられた最近のテーマは、これまで以上に解析精度を向上させること。理論だけでなく、現場のノウハウなど幅広い知識が必要となる。 |
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多様化・高度化・複雑化する市場ニーズに対応するためは、会社として積み重ねてきたノウハウだけでなく、若手技術者たちの発想も大いに求められる。 |
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好奇心旺盛な松原さんにとって、次々と新たな依頼が舞い込んでくるのは楽しみのひとつ。過去のやり方が通用しない難題を解決した時は最高の気分だ。 |
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