姫路市の男性(66)が急病で救急搬送された際、病院に受け入れを断られ死亡した問題で、市と市医師会は12日夜、同市西今宿の医師会館で会合を持ち、医師不足で医療施設がぎりぎりの業務を強いられていることを踏まえたうえで、再発防止のため医療、救急隊、行政が最善の努力をしていくことを確認した。
会合には今回受け入れを断った病院長を含む医師会側約30人、市健康福祉局、消防局から約10人が出席。終了後に会見した空地顕一・医師会副会長は「医師不足で疲弊している現場は精いっぱい救急医療体制を支えてきたが、不幸な要因が重なり今回の事態が起きた」と述べた。
会合で病院長らから、勤務医が個人開業したり、大学から派遣されていた中堅医師が引き揚げられたりして医師不足が常態化しているとの声が相次いだ。背景には厳しい勤務条件と患者からの訴訟リスクなどがあるという。夜間の重症患者のための輪番病院は、2床の空きベッド待機料として市から数万円の委託費が支払われているが、病院側の経済負担は賄われていないなどの訴えもあったという。
再発防止策として、救急隊が搬送先を探す際に診療科を限定せずに判断し、患者や家族に対しては早めの受診や救急要請、軽症の場合は市の休日・急患センターで受診するなどの啓発を進めることなどを確認した。【石川勝己】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2007年12月14日