12日に開かれた講座「邪馬台国を訪ねて」はほぼ満席の人気ぶりだった

12日に開かれた講座「邪馬台国を訪ねて」はほぼ満席の人気ぶりだった

 軍配が上がるのは九州説か、畿内説か‐歴史ファンの関心が高い「邪馬台国論争」に、この秋から県が本格的に“参戦”している。シンポジウムやワークショップ(体験型講座)をたて続けに開催。12日には歴史講座「邪馬台国を訪ねて」(3回シリーズ)も始まった。3年間をかける取り組みで、初年度を締めくくる来年3月のシンポジウムのテーマはずばり「邪馬台国を考える 九州説と畿内説」。

■歴史講座すでに開始

 一連の事業は、県教委文化財保護課に事務局を置く産学官の組織「福岡歴史ロマン発信事業実行委員会」(委員長・西谷正九州大学名誉教授)の主催。「邪馬台国を論じてほしい」との麻生渡知事の意をくみ、多彩なプログラムを企画する。

 2005年10月に地元の念願だった九州国立博物館(太宰府市)が開館し、順調に歩んでいるこの機会に、関心の高い邪馬台国を取り上げ、文化熱を高めたいというのが知事の考えのようだ。

 県教委の磯村幸男文化財保護課長も「福岡は『魏志倭人伝』に登場する伊都国、奴国といった邪馬台国時代の主要なクニがあったと考えられる。この歴史遺産を生かさない手はない」と語る。

 12日に福岡市・天神のアクロス福岡で開かれた「邪馬台国を訪ねて」の第1回講座は、午後6時半開始という時間設定にもかかわらず、150席がほぼ満席。勤め帰りの会社員らが、元九州歴史資料館副館長の橋口達也さんの講演「弥生時代の戦い」に聞き入った。

 橋口さんは、弥生時代の人骨や武器などの発掘資料をもとに、戦闘の様子やクニが形成されていく状況を解説。最後に「会場の多くは『邪馬台国九州説』かもしれませんが、私は残念ながら畿内説ですね」とユーモアを交えて締めくくった。

 この日、手作りの卑弥呼風の衣装で登場し、司会を務めた県教委文化財保護課の齋部麻矢技術主査は「邪馬台国は古代史最大のロマン。『九州邪馬台国』をどんどん発信したい」と話していた。


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 歴史講座「邪馬台国を訪ねて」第2回=来年1月18日、講師・武末純一福岡大学教授「卑弥呼の居処を考える」▽第3回=同2月20日、講師・高倉洋彰西南学院大学教授「遣魏使節の外交とその意義」。いずれも午後6時半‐8時、アクロス福岡で。問い合わせは福岡歴史ロマン発信事業実行委員会事務局=092(643)3875。


=2007/12/14付 西日本新聞朝刊=