食品偽装で三重県から無期限の営業禁止処分を受けた同県伊勢市の老舗和菓子メーカー「赤福」(浜田典保社長)が14日、改善報告書を県に提出した。これを受け県は禁止解除の検討に入る。赤福は新たな製造態勢に向け本社工場の改修を進めており、営業再開は年明け以降になる見通しだ。浜田社長は午後、自らの進退を含め経営の新体制を発表する。
報告書は▽売れ残った赤福餅はすべて廃棄処分にする▽日産供給能力の限界を超える商品の販売はしない▽組織を見直し、営業と販売部門を分離する-などの内容。一部冷解凍設備を既に撤去したことも記した。
赤福本店は伊勢神宮内宮の門前町にあり、地元では初詣で客でにぎわう正月までに県が禁止処分を解除するかに注目が集まっている。ただ、同県の野呂昭彦知事は「できるだけ速やかに対応すべきだと思っているが、特に正月を念頭に置いているわけではない」と述べている。
さらに赤福は工場改修を進めており、食品衛生法に基づく施設変更届を県に提出する必要がある。県は、これも含めて立ち入り調査し、解除の是非を判断することになるため、ある程度の期間が必要との見方が大勢だ。
この日、浜田社長は伊勢保健所に報告書を提出し、報道陣に「伊勢に来られる方々に今しばらくご迷惑をおかけする。申し訳なく思っている」と語った。
赤福が問題とされたのは、商品を包装し直して販売する「まき直し」や売れ残りを「むきあん・むき餅」として再利用するなどの行為で、県はこれらが食品衛生法に違反すると判断した。赤福は農林水産省にも日本農林規格(JAS)法に基づく改善報告書を提出している。【加藤新市、田中功一、高木香奈】
毎日新聞 2007年12月14日 14時11分 (最終更新時間 12月14日 15時07分)