図1 従来の試作品よりもLED素子を20μm角と小型化し,かつ配置ピッチを従来の600μmから42.3μmへと短くした。
図2 LED素子の配置数を従来の24×24個から,24×96個へと増やし大型化したLEDディスプレイ。文字が流れているように表示するため,24個を1ラインとして順次LEDを駆動させている。
図4 「EBF」によって製造したLEDプリント・ヘッド。上がA3版,下がA4版に対応する。
図5 「EBF」によって製造したA4版対応のLEDヘッドが,カラーLEDプリンター「C3400n」に搭載されている様子。
沖デジタルイメージングは,半導体材料を薄膜化し,異なる材料と分子間力によって強固に接合する技術「EFB(epi film bonding)」を応用した映像表示装置の開発状況を明らかにした(Tech-On!関連記事1)。今回新たに2種類のLEDディスプレイを公開した。一つは従来の試作品よりもLED素子を小型化し,かつ高密度に配置したもの。もう一つは配置数を増やして大型化したものである(図1,2)。いずれも発光波長650nmの赤色LED素子をガラス基板上に2次元アレイ状に配置する。前者の高密度品は前面投射型プロジェクターへの応用を視野に入れる。今後は,青色や緑色のLED素子を加えることで,「指先大のプロジェクターを作りたい」(同社)という。
EFBの利点は,異なる材料同士を分子間力で接続するため,接着剤あるいはワイヤボンディングなどが不要になること。素子の小型化,低コスト化につながる。化合物半導体などのエピタキシャル成長層を基板からはく離し,Si基板上に張り付けてICと一体化する(図3)。既にこの技術を使って,沖データがLEDアレイとドライバICを一体化させたLEDプリント・ヘッドを量産化し,同社のA4版対応のカラーLEDプリンター「C3400n」に搭載している(図4,5)。
EFB技術をLEDヘッド以外の映像表示装置へ応用するため,沖デジタルイメージングがLEDディスプレイの開発を進めている(Tech-On!関連記事2)。既に大きさが300μm角で,発光波長が765nmの赤色LED素子を600μmピッチでガラス基板上に並べたものを試作済み。さらに曲がるディスプレイの実現に向け,プラスチック(PET)基板上に2次元アレイ状に赤色LED素子を並べたディスプレイを試作している(図6)。
今回新たに試作した高密度タイプのLEDディスプレイは,LED素子を20μm角と小型化し,かつ配置ピッチを従来の600μmから42.3μmへと短くした。現在は赤色LED素子だけだが,これに青色や緑色のLED素子を加えて2次元アレイ状に配置したものを光源にすれば,「指先大のプロジェクターも作れる」という。理想的にはこの光源に,「結像光学系を追加するだけで映像を表示できる」(同社)。超小型プロジェクターを開発できれば,携帯電話機やノート・パソコンへの搭載も可能になるという。
実現に向けて必要なのが,緑色LEDや青色LEDを安定的に基板から剥離する技術の開発である。EBFでは,基板とエピタキシャル層の間に「犠牲層」を設けて基板とエピタキシャル層を剥離しやすくしている。この犠牲層が剥離の出来を左右する。剥離する場合,犠牲層をウエット・エッチングするとともに,エピタキシャル層を支持体につけて基板から剥がす。エッチング液にさらされると犠牲層は容易に溶ける。
現在実用化しているのは赤外や赤色のLED素子を基板から剥離する技術。赤色LEDの場合,プリント・ヘッドに使う近赤外LEDならGaAs基板上にAlGaAsの薄膜を,ディスプレイ用の赤色LEDならInGaAlP系の薄膜をエピタキシャル成長させる。一方,青色LEDや緑色LEDの場合,赤色LEDと材料が異なる。青色と緑色LED素子は,サファイア基板などにGaN系半導体をエピタキシャル成長させる場合が多い。そのため青色LED素子や緑色LED素子の構造を持つエピタキシャル層を基板から安定的に剥離するには,犠牲層を変える必要がある。
一方,大型化したLEDディスプレイは,素子の配置数を従来の24×24個から,24×96個へと増やした。LED素子の大きさは300μm角で,配置ピッチは600μmと従来のまま。24個を1ラインとして順次LEDを駆動することで,文字が流れているように表示できる。消費電力は0.2W。輝度は300cd/m2以下だという。今回新たに公開した2品種とも,厚さ2μmのエピタキシャル層と厚さ1mmのガラス基板を接合している。
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日曜日、銀座にある百貨店のレストラン街で昼食をとろうと、寿司屋にはいった。商品のセレクトに定評のある百貨店らしく、なかなかの名店がそろっていて、どこに入ってもよかったのだが…
前編では,品質の確保が重要とされている発光デバイスを取り上げ,その開発史や信頼性研究などを紹介した。後編では,それを踏まえて実施すべき取り組みなどについて考察したい。
ITは情報技術。だから,情報技術者にとってITは飯の種。「ITが社会を変える」とか,「ITが会社経営を変える」とか散々聞かされていると思う。もっとも,最近はITという言葉も色褪せてきた。
申しわけありません。いきなりお詫びというのもどうかと思うが、今回は本の宣伝なので、大変恐縮しているのである。お慈悲をもって少々お付き合いください。で、タイトルは『ほんものの日本人』という。
「ここが原料の生産基地ですよ」と、ラルス・ラームさんはにこやかに言う。彼はスウェーデンのストックホルムで、下水処理場から回収したバイオガス(メタン)を燃料にしてバスを走らせる…(