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2007年12月14日

 大事件や不祥事が起きるたびに、「徹底追及」「全容解明」といった大合唱が起きる。きのう逮捕者が出たイージス艦情報流出事件もそうである

そうはいっても、捜査や調査にはおのずと限りがある。「徹底」「全容」に至らぬことも少なくない。先ごろの前防衛次官の国会証人喚問がそうだった。真相解明を叫んだわりに、追及する側の材料不足で、歯切れの悪い結果に終わった。「徹底追及」が何とも皮肉に映った

そうなると、今度は当事者の「説明責任」を求める声が出てくる。自ら進んで真実を語らぬのはおかしい、という主張である。一理あるが、率先して都合の悪いことをべらべらしゃべるほど「お人よし」に満ちている世の中でもあるまい

宙に浮いた年金記録の持ち主探しに赤信号が出、「公約違反だ」という非難が聞こえる。腹立たしい話ではあるが、あれは「徹底追及」という決意表明なのだ、と居直る政治家や官僚の姿も今に始まったことではない

「性善説」だけでは世の中が立ちゆかないことを、私たちは高い「授業料」を払って学び続けている。やがて「ねんきん特別便」という面倒な届け物も来る。


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