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【モバゲータウン解説その5】 コミュニケーションを活性化するアバター

モバゲータウンのビジネス分析の続きです。

今回は『アバター』についての解説です。

アバターとは、自分の分身として画面上に登場するキャラクターのことですが、モバゲータウンでは、サイトの至るところに自分のアバターが表示されます。

マイページやプロフィールページはもちろんのこと、新着日記のページや友達検索のページ、オンライン対戦ゲームの画面にゲームのランキング画面にもアバターは表示されます。

アバターの表示箇所を増やすことで、ユーザーに「ダサい格好してると恥ずかしい」と思わせ、アバターアイテムの購入の意欲を高めてるわけですね。
個人的には「アバターなんて買わないよ」と思うのですが、ユーザー一覧の画像を見ると、どのユーザーもけっこうしっかり着飾っているので、かなり普及しているのではないかと思われます。

このことが、実はモバゲータウンの収益に直結しています。このあたりのビジネスモデルについては、次回の記事で詳述します。

では、アバター関連の要素を項目ごとに分けて見ていきます。


■ アバターのデザイン

こちらのページでアバターのデザインを見てもらえば一目瞭然だと思いますが、実にかわいいデザインです。
萌え系、とまではいきませんが、かなりマンガ・アニメ的な表現に寄ったデザインです。
女性のアバターとか特にデザインがよくできてて、どの人もとても可愛く見えてしまうのはある意味困りものですね。
女性がモバゲータウンに登録すると、男のユーザーからすぐに大量の「友達希望」メールが送られてくる(らしい)のですが、その原因の一つはこのアバターのデザインにあるかもしれません。
もっとも、Yahoo!のようなリアルなタイプのアバターでは恐らく中高生はついてこなかったと思うので、これは若い人をメインターゲットとして規模を広げていく上ではやはり効果的だったはずです。

しかし、逆に、自分のようなオヤジにはこのデザインはキツいです。
アバターの少ない初期は、どのパーツを選んでも10代にしか見えないアバターになってしまい、ちょっと使うのが恥ずかしかったです。周りで使ってるおっさん達も「アバターがかわい過ぎる……」とか言ってたので、やっぱりそうなんでしょう。
最近はフケ顔やヒゲなどのオヤジ向けアイテムも増えてきてはいますが、基本デザインがやはり若い感じなので、20代後半以降のユーザーにはこのデザインは逆にサイト利用の障壁になっているかもしれません。

アバターのパーツは、顔、髪型、インナー、ボトムス、帽子、アクセサリー、持ち物、ペット、背景などのカテゴリに分かれており、現時点で1000種類を超えるアイテムがあります。これは男性用のアイテムだけの数字なので、女性向けアイテムも含めるとその倍はある、ということになります。


■ アバターの購入

アバターの購入には、「モバゴールド」という仮想通貨を用います。
アバターの価格は50G~200Gくらいのものがほとんどですが、高いものになると1000Gを超えるものもあります。

「タウン」という要素を意識してか、扱うアイテムのカテゴリごとに「ショップ」としてそれぞれ別の名前がついています。
例えば、髪型のショップは『[ヘアカット]barber's』、裏原系アイテムのショップは『[裏原]Avenue.』などです。

アバターの中には、ショップでは買えないものがかなりあります。
それについては、この後の「レアアバター」という項目で説明してますので、そちらをご覧ください。

「モバゴールド」の通貨価値ですが、他のユーザーをモバゲータウンに紹介すると300G、スポンサーサイト登録で50G~500G、広告クリックで2G~5Gくらいとなっています。
モバゴールドの入手手段は、このほかに提携サイトでの商品購入、音楽ダウンロードがあります。
現状、モバゴールドの購入方法は上記の手段に限られており、かなり品薄?感がある状態です。


■ ユーザビリティ

アイテムの選択から、購入、装着までの基本的な画面遷移は以下のようになっています。

・トップページ

  ↓

・アイテムショップ一覧ページ

  ↓ (ショップを選択)

・各ショップの販売アイテム一覧ページ
 
  ↓ (アイテムを選択)

・アバターデザイン確認ページ

  ↓ (買い物かごに入れる)

・買い物かごページ

  ↓ (購入確認ボタンクリック)

・購入確認ページ

  ↓ (購入するボタンクリック)

・購入完了・デザイン変更

これはあくまで基本の流れで、途中でいくらでも分岐していきます。実際使ってもらわないと説明が非常に難しいですね……。
「買い物かご」という仕組みを利用していることからわかる通り、かなりショッピングサイトチックな作りなっています。

アバターの選択から、購入、装着という流れは、PCのサイトであっても、わかりやすく使いやすくするには練りに練ったサイト設計が必要になってくると思いますが、モバゲータウンはこのあたりもかなりよくできています。
初めて使ってみてもそれほど迷うことなくアバターデザインの変更ができるようになっています。

携帯のユーザーは、操作がわからなくなったらヘルプを参照する、なんてマメな行動はまずとらず、わからなくなったらめんどくさくなってそのままサイトの利用を止めてしまうことがほとんどです。そのため、携帯サイトはいかに説明をせずに初見でもサイトをストレスなく利用させるか、ということを念頭においてサイトのデザインを設計することが極めて重要なのですが、それを実践するのには携帯電話と携帯ユーザーの特性を十二分に理解しておかなければなりません。

モバゲータウンのアバター購入・変更フローは、一見何気なく作ってるように見えるかもしれませんが、実はDeNAの持つ携帯サイト構築ノウハウの粋とも言える部分で、携帯サイトのユーザビリティを研究するうえでは非常にいい参考になると思います。

誤解しないでいただきたいのは、モバゲータウンのユーザビリティが理想であり完璧であるということを言いたいわけではなく、まだまだ改善の余地はあるものの(例えば、アイテムのキーワード検索ができないとか細かい条件での絞り込みができないとか)、その意識の置き所や細かい工夫を見てほしい、ということです。


■レアアバターの存在

アバターアイテムの中には、ショップで購入することができないものがいくつもあります。
これらのアイテムは、「友達紹介5人以上」や「ゲームをクリア」、「ガチャガチャで手に入れる」「アイテム合成マシーンで合成」などの特定のイベントを起こさないと手に入らないようになっています。

ガチャガチャというのは、駄菓子屋によくおいてあるアレですね。
利用するには100Gが必要で、アバターアイテムが1つもらえます。何が当たるかはわかりません。

合成マシーン(正確には『合成マッシーン』)は、2つのアイテムを合成して、新しいアイテムを生成する装置です。わかりやすくいうと、女神転生の悪魔合体のようなものです。(余計わかりにくいか)
これも利用には100Gが必要です。

いやー、実にあざとい。

もとい、うまい仕組みですね。

最近はやってないようですが、以前は「アバターコンテスト」を2ヶ月に1度くらい開催し、ユーザーのアバター購入を促進する取り組みをしていました。
ユーザーにアバターで着飾ってコンテストにノミネートしてもらい、それに他のユーザーが投票していくという企画です。

アバターを買わせるにもいろいろ工夫がいります。


この一連のアバターの仕組みというのは、うまい具合に収益に結びついています。
モバゲータウンのビジネスの肝、とも言える部分です。

これについては次回に詳しく説明したいと思います。




モバゲータウン解説シリーズ目次

1.「モバゲータウン」という恐ろしいサイト
2.モバゲータウンってどんなサイト?
3.オンライン対戦できるJavaアプリゲーム
4.手軽にプレイできるフラッシュゲーム
5.コミュニケーションを活性化するアバター
6.モバゲータウンの収益源 - まさに現代の錬金術
7.アフィリエイト以外の収益源

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コメント (1)

私がモバゲーの『規約』を読んでみて、一番気になったのは

「モバゲーに書き込まれた文章や個人情報がモバゲー業者によって自由に利用できる」

という一節でした。

個人情報の売り買いやコントロールなどが行われる可能性を危惧します。

モバゲーとは、私、個人としては、そういった裏の顔を見せずに、若い年代層(10代)をターゲットにした「かなり悪質なサイトではないかな?」と感じております。

貴殿のモバゲーに関する分析は実に参考になりました。
有り難うございました(^-^)

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株式会社マイネット・ジャパン

プロフィール

    橋詰 大造
    (株)マイネット・ジャパン取締役
    (株)ディー・エヌ・エーで携帯ショッピングモール『ポケットビッダーズ』の運営とモバイル関連事業の立ち上げに携わる。
    2006年7月、(株)マイネット・ジャパンに立ち上げメンバーとして参画。

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