小児期および青少年期に過体重の人は、成年期にも過体重および肥満になりやすく、若いうちに心疾患になり死亡する比率が高いことが2つの研究で示され、米医学誌「New England Journal of Medicine」12月6日号に掲載された。
過体重は、心疾患、糖尿病、癌(がん)などの疾患リスクをもたらす。米国では青少年人口の17%、900万人が過体重で、このうち80%が成年期に肥満になると推定され、小児の肥満率は1970年の3倍となっている。
第一の研究は、1930〜1976年に小児だったデンマーク人約27万7,000人(いずれもコペンハーゲンの児童)を対象としたもの。このうち、小児期のボディ・マス・インデックス(BMI:肥満指数として用いられる)が確認でき、かつ成年期で冠動脈性心疾患(CHD)と診断されるか同疾患で死亡したのは、男性1万200人、女性4,300人であった。7〜13歳のときにBMIが高かった男児および10〜13歳で高かった女児では、成年期に心疾患イベントが生じるリスクが高いことが判明した。例えば、13歳の少年の体重が平均よりも11.2kg重い場合、60歳前に冠動脈イベントを起こすリスクが33%高い。
第二の研究は、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のKirsten Bibbins-Domingo氏らによるもの。コンピューターモデルを用いて、2000年での過体重の青少年の数から、成年期で過体重となる数を推定した。その結果、今のティーンエイジャーが35歳になる2020年には、男性の37%、女性の44%が肥満になると予測された。このため、2035年までにこの年齢集団内で心疾患による死亡は5,000人増、心臓発作、心不全などのイベントは4万5,000人増と考えられ、肥満による冠動脈性心疾患の死亡者数は19%増大する可能性があるという。
Bibbins-Domingo氏はこの結果について、ある程度までは予想通りであったが、その数字の大きさは驚きだと述べている。今回の研究で、働きざかりの35〜50歳という年齢層で、心臓発作での入院患者、長期的な薬物療法が必要な患者、50歳前での死亡数の増加が示された。「肥満予防のため、国、州、地方自治体が協調して子どもの健康的な食生活や運動を強化していく必要がある」と同氏は述べている。
原文
[2007年12月5日/HealthDay News]
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