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<薬害C型肝炎>「バカにするな」涙の原告、決意新た

12月13日22時29分配信 毎日新聞


<薬害C型肝炎>「バカにするな」涙の原告、決意新た

薬害C型肝炎訴訟の大阪高裁和解案提示を受けた会見で、記者の質問を聞く九州訴訟原告の福田衣里子さん(手前)。奥は全国原告団代表の山口美智子さん=東京・霞が関の弁護士会館で2007年12月13日午後6時11分、小出洋平撮影

 薬害C型肝炎訴訟で大阪高裁が13日示した和解骨子案の受け入れを拒否した全国原告・弁護団は、東京・霞が関の弁護士会館で会見し「国が被害者全員の一律救済を決断するまで闘い続ける」と決意を新たにした。原告らは一様に骨子案の内容に落胆し涙をこらえられなかったが、解決を目指し前を向いた。

【関連記事】 薬害C型肝炎:原告和解受け入れ拒否

 九州訴訟原告の福田衣里子さん(27)は会見で「国の責任を認めないでおきながら、口止め料のように原告だけに一部を払うから終わりにしてくれというバカにした骨子案。私たちを見くびらないでほしい。これで幕引きは許せない」と批判した。

 出生時に血液製剤クリスマシンを投与され、20歳の時に受けた検査でC型肝炎に感染した。インターフェロン治療の厳しい副作用に苦しみ、パン職人になる夢も奪われた。福岡地裁判決(06年8月)で敗訴したが、めげずに闘い続けると決めた。感染の原因を明らかにし責任を追及するのが、実名原告としての使命だと思った。

 福田さんは和解骨子案について「ここまで来ても国の責任を認めさせられなかった。自分の無力さを悲しく思う。でも、思いは貫きたい」と涙した。

 ともに会見した全国原告団代表の山口美智子さん(51)は「福田さんのような若者が、まだまだ闘い続けなければならないのか。彼女らは人生を始められないでいる」と訴えた。4日の舛添要一厚生労働相の謝罪について「本心と信じている。ぜひ政治決断して」と語った。

 大阪高裁は和解骨子案提示にあたっての所見で「解決には、原告らの全員一律救済の要求が望ましいが、国などの譲歩がない限り案として提示しない」と記した。全国弁護団副代表の山西美明弁護士は「司法でも官僚の厚い壁は破れないというメッセージだろう。全員救済を理念とする和解案が出なければ、協議には応じられない。政治決断がなければ淡々と判決を迎えることになる」と強い姿勢を示した。【北村和巳】

 ◇救済範囲狭い東京地裁下敷き 和解協議

 高裁での和解協議は通常、1審判決を下敷きに進められるが、大阪高裁は大阪地裁判決ではなく、救済範囲が最も狭い東京地裁判決を基準にした和解を求めた。鈴木利広弁護団長は会見で「国の主張をそのまま原告に提示しただけ。高裁にリーダーシップがない」と不満をこぼした。

 東京地裁判決は、1審判決で唯一、感染の責任時期を後ろでも区切った。88年6月以降は製薬会社が緊急安全性情報を配布して血液製剤の回収が進み、感染防止対策が取られたと判断したためだ。

 しかし、今月5日に実名で提訴した加地智子さん(51)の投与は91年3月。製薬会社任せの回収が中途半端で、89年に導入されたウイルスのチェックも素通りしていた実態を裏付ける。

 東京訴訟では、たまたま89年以降に感染した原告がおらず、回収指示やチェックが妥当だったかの明確な司法判断は示されなかった。だが厚労省が放置していた418人の感染者リストの中でも、90年代の感染者は29人に上る。弁護団は「国が危険性を認識した後に感染したケースまで切り捨てるのは不合理だ」として、90年代感染者を政治解決が必要な象徴と位置付ける構えだ。【清水健二】

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最終更新:12月14日0時29分

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