福岡県警が2007年、暴力団対策法に基づいて出した中止命令が13日現在で過去最多の157件に上っていることが分かった。不当な金品要求が急増しているほか、組加入強要や脱退妨害行為では指定暴力団道仁会(同県久留米市)系組員への中止命令が6割以上を占めており、対立する暴力団九州誠道会(同県大牟田市)との抗争の長期化も影響しているとみられる。
暴対法はみかじめ料や不当な寄付金の要求などのほか、組への強制的な加入や脱退を妨害する行為を禁じている。県内の5つの指定暴力団の組員がこれらに違反した場合は中止命令を出し、従わない場合は逮捕できる。
県警によると、中止命令のこれまでの最多は05年の129件だったが、今年は記録を更新中。最も多いのが、不当な寄付金や援助金を要求する「不当贈与要求」の68件で前年の39件から急増。続いて「組への加入強要や脱退妨害」の51件(前年40件)で、このうち道仁会系組員によるものは6割を超える34件だった。8月には、道仁会系組員が知人だった20代の会社員に「逃げても無駄だ」などと組への加入を強要したケースもあった。
県警捜査四課は「抗争中、末端の組員は組事務所や幹部の警護に就くため経済活動ができず、生活に困り、不当要求に及ぶこともある。脱退を希望する組員も少なくなく、道仁会としては勢力温存にあせりを感じている面もある」と指摘する。
道仁会をめぐっては、昨年5月に離脱した勢力が九州誠道会を結成し、抗争に発展。これまでに福岡、佐賀、熊本、長崎の4県で抗争とみられる事件が相次ぎ、6人が死亡している。また、佐賀県武雄市の医院では人違いとみられる入院患者射殺事件が発生している。
●誠道会は暴対法の外
道仁会と抗争を続ける九州誠道会は結成から一年半がたっても暴力団対策法に基づく指定が行われず、組員らは同法の網から漏れたままだ。
県警によると、誠道会は道仁会内の最大勢力だった村上一家などで構成されるが、「法律上、新たな暴力団として一から指定作業をやり直す必要があるため、どうしても時間を要してしまう」(県警幹部)という。
暴対法に基づく指定には(1)組長を頂点とした「上意下達」の階層性がある(2)組員に占める犯罪経歴者の割合が政令で定めた基準を超す(3)組の威力を利用した資金集めをしている-の三点を満たすことが必要。
誠道会の場合、「資金集め」の裏付けが不十分で、「抗争中は摘発逃れでシノギ(資金集め)も慎重になるため、情報が集まりにくい」(同)との事情ものぞく。暴対法では組事務所の使用禁止などの措置も可能となるため、県警は「早期指定に全力を挙げたい」としている。
=2007/12/13付 西日本新聞夕刊=
暴対法はみかじめ料や不当な寄付金の要求などのほか、組への強制的な加入や脱退を妨害する行為を禁じている。県内の5つの指定暴力団の組員がこれらに違反した場合は中止命令を出し、従わない場合は逮捕できる。
県警によると、中止命令のこれまでの最多は05年の129件だったが、今年は記録を更新中。最も多いのが、不当な寄付金や援助金を要求する「不当贈与要求」の68件で前年の39件から急増。続いて「組への加入強要や脱退妨害」の51件(前年40件)で、このうち道仁会系組員によるものは6割を超える34件だった。8月には、道仁会系組員が知人だった20代の会社員に「逃げても無駄だ」などと組への加入を強要したケースもあった。
県警捜査四課は「抗争中、末端の組員は組事務所や幹部の警護に就くため経済活動ができず、生活に困り、不当要求に及ぶこともある。脱退を希望する組員も少なくなく、道仁会としては勢力温存にあせりを感じている面もある」と指摘する。
道仁会をめぐっては、昨年5月に離脱した勢力が九州誠道会を結成し、抗争に発展。これまでに福岡、佐賀、熊本、長崎の4県で抗争とみられる事件が相次ぎ、6人が死亡している。また、佐賀県武雄市の医院では人違いとみられる入院患者射殺事件が発生している。
●誠道会は暴対法の外
道仁会と抗争を続ける九州誠道会は結成から一年半がたっても暴力団対策法に基づく指定が行われず、組員らは同法の網から漏れたままだ。
県警によると、誠道会は道仁会内の最大勢力だった村上一家などで構成されるが、「法律上、新たな暴力団として一から指定作業をやり直す必要があるため、どうしても時間を要してしまう」(県警幹部)という。
暴対法に基づく指定には(1)組長を頂点とした「上意下達」の階層性がある(2)組員に占める犯罪経歴者の割合が政令で定めた基準を超す(3)組の威力を利用した資金集めをしている-の三点を満たすことが必要。
誠道会の場合、「資金集め」の裏付けが不十分で、「抗争中は摘発逃れでシノギ(資金集め)も慎重になるため、情報が集まりにくい」(同)との事情ものぞく。暴対法では組事務所の使用禁止などの措置も可能となるため、県警は「早期指定に全力を挙げたい」としている。
=2007/12/13付 西日本新聞夕刊=