海上自衛隊第1護衛隊群の2等海曹(33)が特別防衛秘密(特防秘)のイージス艦情報を持ち出した事件で、神奈川県警と海上自衛隊警務隊は13日にも、イージス艦システムの保守や管理を担当するプログラム業務隊(現・艦艇開発隊)に所属していた3等海佐(34)を日米秘密保護法違反容疑で逮捕する方針を固めた。海自第1術科学校(広島県江田島市)元教官の3佐(43)と1等海尉(49)、下士官数人を近く書類送検する方針。同法が自衛官に適用されるのは1954年の施行以来初めて。
3佐は02年、特防秘と規定されたイージス艦情報を元教官の3佐に渡し、漏えいした疑いがもたれている。2人は米国留学で知り合い、帰国後、元教官側から情報の提供を依頼したとみられる。
情報は同じ教官だった1尉に渡り、1尉がコピーして特防秘を取り扱う権限のない学生数十人に渡したという。コピーはさらに繰り返され、護衛艦「しまかぜ」「はつゆき」にも広まり、最終的に2曹へは、護衛艦に勤務していた時の同僚の海士長(23)から情報が渡ったらしい。
県警などは200人以上の海自関係者から聴取し、漏えいルートの特定を進めた。その結果、プログラム業務隊に所属していた3佐が特防秘へのアクセス権限のない第1術科学校に情報を漏えいしていた点を重視し、逮捕に踏み切る方針。イージス艦情報は99年ごろ、幹部教育用の資料としてプログラム業務隊の別の3佐が作成していた。【堀智行】
【ことば】日米秘密保護法 正式名称は日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法。米国から供与された船舶や航空機などの装備品の秘密保護を目的に1954年施行された。秘匿性の高い特別防衛秘密を収集したり、他人に漏えいするなどした場合は最高で懲役10年が科される。
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