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IFRIC、カスタマー・ロイヤルティ・プログラムに関する指針案を公表

IASBプレスリリース 2006年9月7日

 国際財務報告解釈指針委員会(IFRIC)は、本日、解釈指針案D20「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」を一般のコメントを募集するために公表した。

本解釈指針案では、顧客が商品又はサービスを購入した際に、当該顧客に対してポイント、マイレージ、その他のポイントサービス (award credits/credits)を付与する企業の会計処理を取り扱っている。特に、これらの企業が顧客にポイントサービスと引き換えに無償あるいは値引きして商品又はサービスを提供する義務をどのように認識及び測定するかについて取り扱っている。
本解釈指針案は企業が当初販売の受取額のいくらかをポイントサービスに配分した上で、無償あるいは値引きして商品又はサービスを提供する債務を履行するまで、この額の収益認識を繰延べることを提案する。
 本解釈指針案の紹介として、Robert Garnet IASB理事、IFRIC議長は次のように述べた。
「カスタマー・ロイヤルティ・プログラムは様々なビジネスに行き渡っている。−2、3例を挙げるなら、小売業、航空会社、消費者金融がある。国際財務報告基準(IFRSs)には、こうしたビジネスにおいて、企業が負うべき債務をどのように会計処理するかについての詳細なガイダンスがなく、実務は様々である。本解釈指針案により、ポイントサービスは顧客が黙示的に支払っている別個の商品又はサービスであるという我々の見解を反映した方法で実務は統一されることとなる。IFRICはこのプロジェクトにおいて、フランスの会計基準設定主体であるConseil National de la Comptabiliteの援助を受けている。我々はCNCのサポートに感謝する。」

 IASBの包括購読サービスの契約者は、本解釈指針案をIASBの契約者用ウェブサイト(www.iasb.org)から入手できる。契約希望者は、以下にお問い合わせいただきたい。
IASCF Publications Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730 Fax: +44 (0)20 7332 2749
email: publications@iasb.org Web: www.iasb.org

2006年9月8日以降、本解釈指針案の完全版がウェブサイトから無料で入手可能となる。本提案は2006年11月6日までコメント募集のために公開される。

以  上


問合わせ先: 
Robert Garnett, Chairman, IFRIC
Telephone: +44 (0)20 7246 6424, email: rgarnett@iasb.org
Allan Cook, IFRIC Co-ordinator
Telephone: + 44 (0)20 7246 6452, email: acook@iasb.org

編集者への注釈

IFRIC 解釈指針案D20号について

  1. この解釈指針案では、顧客にポイントサービスと引き換えに無償あるいは値引きして商品又はサービスを提供する義務の認識と測定を主な事項として取り扱っている。
  2. 1つ目のアプローチは、ポイントサービスが付与される当初販売時点で、費用を引当計上するものである。この場合の金額は、商品又はサービスを無償あるいは値引きして提供することで生ずると予想される費用に基づく。このアプローチの論拠は、ポイントサービスは当初の販売を確保するための付随費用であり、当初販売時に認識されるべきとするものである。
  3. 2つ目のアプローチは、当初販売の受取額を2つの構成要素−当初販売時に引き渡された商品又はサービスの価値に見合う額と、ポイントサービスの価値に見合う額とに分けるものである。前者の構成要素に配分された受取額は、当初販売時点で収益認識される。一方、ポイントサービスに配分された受取額については、顧客にポイントと引き換えに、無償あるいは値引きして商品又はサービスを提供するか、第三者に同様の義務を負ってもらう契約をする(支払いも行う)かのいずれかによって、ポイントサービスの債務を履行するまでは、負債として繰延べることとなる。
  4. この2つのアプローチ実質的な相違は、負債の測定にある。1つ目のアプローチでは負債を予想される費用に基づいて測定するのに対し、2つ目のそれでは販売価格に基づく。
  5. 解釈指針案では、すべての企業は2つ目のアプローチを適用することを提案している。この提案は、ポイントサービスは顧客が黙示的に支払っている別個に認識されるべき商品又はサービスであるというIFRICの見解を反映している。収益認識の一般基準であるIAS18「収益」は、取引の実質を反映する必要がある場合、個別に認識可能な販売取引の構成要素を分離して会計処理することを要求している。

IFRICについて
IFRICは、2002年2月に第1回会合を開催した。IFRICは、出身国や職業経験の異なる12人(全員非常勤)の議決権を有する委員で構成され、議決権を有さない議長のもと一年に約6回会議を開催している。IFRICの原則的な役割は、権威ある指針がないことにより異なった取扱いや容認できない取扱いを受ける可能性があるような会計上の問題について、現在のIFRS及びIASBのフレームワークの文脈の中で、適切な会計処理について合意に到達することを目的として、タイムリーに検討することにある。解釈指針の開発にあたり、IFRICは、IFRICと同様の各国の解釈指針委員会と緊密な連携をとって作業を行っている。

IASBについて
国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンに本拠を置き、2001年に活動を開始した。同審議会は、IASC財団の評議員会によって集められる拠出金で運営されている。この拠出金は、世界中の主要会計事務所、民間金融機関及び事業会社、中央銀行及び開発銀行、ならびにその他の国際的専門団体からのものである。現在の14人の審議会メンバー(うち12人は常勤)は、9か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。IASBは、公共の利益のため、一般目的の財務諸表において透明で比較可能な情報を要求する、高品質かつ世界的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的を追求するため、IASBは、全世界の会計基準のコンバージェンスを達成するために各国の会計基準設定主体と協力している。