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「日本で尊重される存在に」残留孤児代表が陳述
このニュースのトピックス:民事訴訟
「日中友好の架け橋になりたい」。改正帰国者支援法の成立を受けて、13日、東京高裁で、全国に先駆けて訴えを取り下げた中国残留孤児東京訴訟。意見陳述した原告団代表の池田澄江さん(63)はこれまでの長くつらい道のりを振り返りながら、最後は希望をつなぐ言葉で締めくくった。
午前10時すぎ、原告らは笑顔を浮かべながら東京高裁の玄関をくぐった。そこには悲壮な表情の原告はいない。胸を張り未来を見据えた。
この日、口頭弁論が開かれる東京高裁最大の101号法廷は、多くの原告で埋め尽くされた。そして原告を代表して池田さんが意見陳述。
「中国の人々の非難の目を意識して中国で生き抜いてきました。そして祖国日本では中国人と呼ばれる。一体私たちは何びとなんですか」
池田さんの陳述が続く中、傍聴席には、目を閉じて静かに耳を傾ける原告の姿があった。誰もが悲しい歴史を思いだしていた。そして池田さんはこう結んだ。
「日本社会の一員として尊重されるような国民になり、日中友好の架け橋になりたい」
厚生労働省によると、残留孤児の平均年齢は70歳を超えている。原告側が改正法を受け入れ、裁判を終結させるに至ったのも、「これ以上、裁判を続けるには高齢になりすぎた」(原告代理人)との判断があった。