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エイズ実態「しゃべらせるな!」 中国 (1/2ページ)
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【北京=野口東秀】北京で12日から3日間の日程で始まったヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染関係の会議で講演する予定の女性感染者が軟禁されたことが明らかになった。この女性は売血や輸血による感染が深刻な河南省のエイズ問題の実情を調査するなど、人権活動家としても知られているが、産経新聞に対し電話で、現地の当局者に軟禁されており、出席がほぼ困難な状態であると述べた。当局は、感染者への差別や暴力行為などの実態が暴露されることを懸念したとみられる。
女性は自らも輸血で感染した河南省商丘市の李喜閣氏(39)。会議は、国連女性開発基金や中華全国婦女連合会などが共同で各地の関係者を対象に教育・訓練目的で開いたもので、主催者側が李氏を講演目的で招請。李氏は「感染者への差別、蔑視をなくす」というタイトルで13日午前に講演する予定だった。原稿も完成しており、「13日朝に何とかして出発できれば」と李氏は希望も残している。
中国政府は、先月30日に温家宝首相が河南省の「エイズ村」を視察するなどエイズ対策を重視しているが、今年8月に河南省と広州で開く予定だったエイズに関する国際会議が「特殊な原因で中止」(関係者)となっている。地方の当局が感染者や支援組織が結束することなどを懸念したために中止になったとみられている。
李氏は1995年6月、病院で帝王切開により長女を出産した。その際の輸血で感染したと知ったのは、長女が9歳の時だ。長女が体の不調を訴え、検査により母子で感染したことが判明。検査結果が出た2日後、長女は死亡。現在、小学1年生(6)となった二女も感染している。