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レディオヘッドの「値段はあなた次第」ダウンロード販売、CDへの影響は?

オンラインで「自由価格」で販売されたアルバムをCDで購入するファンは何人いるだろうか?(ロイター)
2007年12月12日 17時14分 更新

 ロンドンに本拠を置くインディーズレーベル、XL Recordingsは、レディオヘッドの新作アルバム「IN RAINBOWS」のCD販売契約を獲得、2007年の音楽業界最大級の注目プロジェクトで、その名前にふさわしい特に大きな役割を果たしている。

 ユニークな人気ロックバンドのレディオヘッドは、レコード業界のルールを実質的に放棄し、スタジオ録音によるIN RAINBOWSを10月10日に公式サイトでリリースし、ユーザーが購入価格を自由に決められる方式でダウンロード販売を始めた(10月3日の記事参照)。

 その後、このアルバムのCD販売をどこが行うかをめぐってさまざまな憶測が飛び交ったが、XL Recordingsが10月31日、米国と日本を除く全世界で12月31日にCDを発売すると発表した。米国では、デイブ・マシューズ・バンドのリーダーを務めるデイブ・マシューズが設立に参加したATO Recordsを通じて翌1月1日に、日本ではホステス・エンタテインメントを通じて12月26日にCDがリリースされる。

 XLは今、さまざまな未知のファクターを抱えている。特に予想がつかないのが、デジタル版が3カ月販売された後で新アルバムがどれだけ売れるかだ。

 レディオヘッドは「斬新な試みを行っている」とXLの共同創業者でCEOを務めるリチャード・ラッセル氏は語った。「われわれはこれから伝統的なやり方でシングルとビデオを出そうとしている。だが、売れ行きは読めない。売りながら評価を重ねて、販売展開を模索していく」

 この「伝統的な」アプローチにより、アルバムからの第1弾シングル「Jigsaw Falling Into Place」が来年1月14日に英国で発売される。また、主要フェスティバルでの公演を含む世界ツアーが6月からスタートする予定で、皮切りとなる欧州ツアーの日程が発表されたばかりだ。

 アルバムのデジタル版は、「CD販売に悪影響を及ぼすかもしれない」とラッセル氏は語った。「しかし、人々はこのアルバムを気に入っており、話題にしている。こうした人気に支えられてヒットが生まれる。わたしとしては、CD発売前は非公開にした駄作よりも、すぐれた作品を常にあつかっていくつもりだ。たとえデジタル版の先行リリースのためにCD販売に幾らかダメージがあるとしてもだ」

 音楽販売チェーンの英HMVは、新アルバムに楽観的な見通しを持っている。「かなりの売れ行きを予想している」とロック・ポップ担当マネジャーのジョン・ハースト氏は述べた。「仮に年末年始の週に新アルバムが入ってこなかったとしても、われわれの店でヒットしない理由は見当たらない」

 しかし、懐疑的な向きもある。「なぜレディオヘッドがこうした道を選んだかは分かる」と独立系音楽販売店Quirks Recordsの共同オーナー、ポール・クワーク氏は語った。「だからといって、わたしは販売側として歓迎しているわけではない。われわれの店の販売サポートにも、この認識が反映されることになるだろう」

 ラッセル氏は、「実店舗の販売業者が心配しているとしたら、それは完全に理解できる。だが、われわれは挑戦しなければならない」と語った。

 XLは、レディオヘッドが前作まで契約していたEMI Musicと争って単発のアルバム契約を獲得した。ラッセル氏は、XLのインディーズレーベルとしての機動性や、アーティストと「パートナーシップ」を組むというポリシーに加え、レディオヘッドのフロントマン、トム・ヨークの2006年の初ソロアルバム「The Eraser」を手掛けて成功した実績がものを言ったと説明した。

 XLは1989年、ダンス・エレクトロニックミュージック専門レーベルとして誕生し、1990年代半ばにプロディジーのヒットで世界的に成功した。プロディジーは4枚のアルバムを出した後で同レーベルを離れたが、XLは現在、ロンドンのラッパーのディジー・ラスカル、オルタナティブフォークシンガーソングライターのデヴェンドラ・バンハート、エレクトロヒップホップシンガーのM.I.A.など、多彩なアーティストを擁している。

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[ロンドン 10日 ロイター]

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