2006年09月07日

●アクアプラスの二次創作ガイドライン

 アクアプラス:二次創作・素材使用について更新 (HK-DMZ PLUS.COMより)
 どうも2006/9/1にアクアプラスの二次創作物ガイドラインが更新されたようです。

 その中で同人誌に関する記述を以下に抜粋。

■個人またはサークルによる私的頒布であること
具体的には『同人即売会(イベント)での頒布』、『webサイトでの自主通販』等を差します。
二次創作物を、業者等第三者を介して一般流通させることは同人活動とは見なしていません。 

 どうも同人書店への委託は禁止、という意味に解釈が出来そうですが(個人的な見解の為、少しぼかしておきます)。
 しかし、本当にこの記述って今回の更新で入ったものなのでしょうか?
 という訳で、該当ページをWebArchiveで確認出来た物と比較してみました。

▼個人またはサークルによる私的頒布であること
具体的には『同人即売会(イベント)での頒布』、『webサイトでの自主通販』等を差します。
二次創作物を、業者等を介し営利目的で一般流通させることは同人活動とは見なしていません。
Feb 04, 2005

 太字の部分が変わった個所。2001年頃からこの記述は存在しています。
 業者営利非営利に関わらず、業者以外の第三者でも。と範囲が微妙に広がってますが、以前から書店委託は禁止と取れるニュアンスではないでしょうか。
 結局の所、ニュアンスが変わっただけで、今に始まった話ではないという事になります。
 同人誌の書店委託はそれ以上のアクションがない限りは、多少の様子見をサークル側が行う場合もあるでしょうが、今まで通りされ続けるのではないでしょうか。
 ここではその善悪は問いません。同人の世界ではそういう風潮が強く、今回もそうなる可能性が高いという事です。

 しかし、ここに来て変わった事は気になります。ガイドラインを変更せざるを得ない特殊なケースが浮上したのかもしれませんね。
 そこまで強制力が強くないものであると予想しても良いかもしれませんが、何か起きた時のリスクを背負うのは発行者であるサークル自身である事は、2次創作を行う者として理解する必要はあるでしょう。

 あくまで一企業のガイドラインではありますが、版権を持っている側からすれば「同人誌」を頒布する事と「同人活動」は常に一致しているとは限らないのではないかと思います。


 ここで「同人活動は営利活動とまでは行かなし、書店委託もその範疇になるのではないか? やはり今回の変更は大きい。」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 岩田次夫氏が「同人誌書店販売について」という原稿の中で、今回の件と関係する興味深い文章を残しています。下記に引用。

 著作権の問題に関してコメントします。
 (中略)
 さらに、即売会のみでは趣味であり営利目的では無いと言う主張が成り立ちますが、書店販売を行った場合は、このような主張は成り立ちません。著作権の問題では営利目的か否かは重要な判断事項になります。
  ──「同人誌バカ一代 ~イワえもんが残したもの~」久保書店 182ページより

 営利非営利をどう判断するか、というのははっきり基準が決まっている物ではありませんが、書店販売というのも1つの線引きしやすいラインではあるのでしょう。
 アクアプラスに限れば同人誌即売会をテーマにした「こみっくパーティー」という作品の存在や、コミケで企業参加している事からも、ギリギリのラインであると言えるかもしれません。

 以前、「プロとアマのボーダーレス化」という言葉でも米沢代表の言葉を引用しましたが、同人誌だからで許されるのも限界はあります。
 そういった事を作り手はもちろんですが、読み手・買い手側も理解していった方が良いのかもしれません。

■追記(2006/9/10 2:50)
 事実誤認が先行してしまった様で。今回新たにこの規約全てが追加されたという認識をしている方が多いのは残念に思います。
 この規約が出た日付を調べてみましたが、2000年の9月に書かれたもののようですね。

 基本的に匿名掲示板は情報ソースにしない様にしているのですが、参考になる情報が少なかった為、過去ログのいくつかにリンクを貼ります。
 たぶん今回の件はデジャヴ感じてる人も結構多いのではないでしょうか。

 同人誌、どこまで同人誌? (2000/9/21~)
 ■ リーフ、同人の弾圧をはじめる ■ (2000/9/28~)
 QOH (THE QUEEN OF HEART) (2000/8/2~) 337、347辺りを参照

Posted by kokkuri at 2006年09月07日 11:55
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コメント

Leaf含めLeaf社員(甘露氏、みつみ氏、なかむら氏、カワタ氏etc...)の二次創作系同人刊行物が、
圧倒的な高い需要を得ているにも関わらず一切通販等が行われていないのはその倫理スタンス故に、
というのはたまにご本人の口からも語られてもいましたし、周知のものと思っていましたが…。
即売会以外の流通が確立される前後に生まれた同人フリークの間には大きな意識のズレのようなものを感じえません。

Posted by anony at 2006年09月12日 20:08

この件でダダをこねてる商業同人作家も少なからずいたが、
元々が他人の敷地で勝手に商売してるようなもんだからなあ。
正式なアナウンスが出たなら著作権者には素直に従えよ、と正直思うわ。

Posted by 通りすがり at 2006年11月13日 07:43