2007年12月12日 21時7分更新
甲府市でバイクと車が衝突しバイクに乗っていた少年2人が死亡したのは車の運転手に過失があったためだとして、遺族が運転手らを訴えた裁判で、東京高等裁判所は「証人の信用性は低く過失は認められない」として1億円あまりを支払うよう命じた1審判決を取り消し、遺族側の訴えを退けました。
この裁判は5年前の平成14年6月、甲府市の交差点でバイクと乗用車が衝突し、バイクに乗っていた中村新吾さん(当時19)など少年2人が死亡した事故について少年の遺族が「車の側に過失があった」と主張して運転手の男性や同乗者などに慰謝料などおよそ1億4000万円を支払うよう求めたものです。
1審の甲府地方裁判所は「男性らに過失があった」と判断し、1億2000万円を支払うよう命じました。
これまでの裁判では信号の色やバイクが無灯火だったかどうかなど当時の状況について双方の証人の主張が分かれ、その信用性が争点になっていました。
12日の判決で東京高等裁判所の柳田幸三裁判長は「遺族側の証人は事故から3年以上経過した後に証言している上、内容が変遷するなど信用性は低い」と指摘しました。
その上で「バイクは赤信号で交差点に入った上無灯火で男性に過失はなかった」と認めて1審判決を取り消し、遺族側の訴えを退けました。
判決の後、中村さんの母親のかつ江さんは「悔しさで何と言っていいのかわかりません。
今後の対応は弁護士の先生と相談して決めたいと思います」と話していました。
この事故をめぐっては男性が業務上過失致死の疑いで書類送検されましたが、嫌疑不十分で不起訴になっています。