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ビジネスマン完全武装化計画


Part3 臨戦態勢
東京放送(TBS)系列で毎週日曜午前10時から放送中の「サンデー・ジャポン」という番組に出演している橋下徹弁護士は、時に暴言を吐く異色の弁護士として目立っている。しかし、実際は「タフ・ネゴシエーター」とし数々の泥臭い修羅場を経験している実力派弁護士だ。
論理とは詭弁だ 異色の若手弁護士が語る説得法


橋下徹
1994年3月、早稲田大学政治経済学部卒業、同年司法試験合格。97年4月、弁護士登録。98年4月、橋下綜合法律事務所開設。大阪府立北野高校時代には第67回全国高校ラグビーフットボール大会全国大会(花園)に出場、ベスト16入り。高校日本代表候補にもなったスポーツマン。
 
 「詭弁を弄(ろう)してでも、黒いものを白いと言わせるのが論理的な交渉の醍醐味」と豪語する橋下徹弁護士は、法廷で裁判を争うより示談交渉を活動のメーンとする、日本弁護士界では異色の存在だ。裁判では原告・被告双方が納得する・しないにかかわらず、裁判官が一刀両断的に判決を下して紛争を解決できる。これに対して、示談は双方が納得しないと成立しないため、裁判に比べて泥臭く、ケースに応じた高度な交渉力を要する。
 接触もしていないのに交通事故を装って1億円を請求したり、購入した住宅が雨漏りするとして巨額の賠償金を請求する不逞の輩(ふていのやから)が交渉相手には少なくない。また、活動拠点の大阪という土地柄、弁を弄する人が多いので交渉は一筋縄ではいかない。
 橋下弁護士の個人事務所では以前、俗にイソベン(居候弁護士)と呼ばれる2人の若手弁護士を採用したことがあったが、1人は2日目で辞め、もう1人は5日目で辞めた。2人とも泥臭い示談仲裁についていけなかったのだ。1週間もたたずに2人のイソベンが辞めたのは日本弁護士界では前例がないほど、橋下弁護士の活動は異色なのだ。
 大阪ではタフ・ネゴシエーターとして知られる橋下弁護士は、「まずは自分なりの結論を先に決める。論理とは、あくまでも結論に導くための道筋にすぎない。結論にたどり着く道筋はひとつではないことを認識した上で、論理の破たんなく柔軟に道筋を構築できれば相手は納得する」と説明する。
 自分と主張が異なる相手を説得する場合、自分の主観に基づく理屈では相手は納得しない。できるだけ、大義名分にかなう公の決まり事を使って結論に導くことがポイントだ。弁護士には法律という大義名分があるが、会社では組織内における大義名分を探る必要がある。それは、メディアや書籍などで得られた知識、また自分の主義主張に基づくものではない。交渉相手の共感を得られることを前提に、交渉相手の心理を汲み取って得られるものだ。そして、さまざまな共通項や知識を柔軟に組み合わせる論証能力が肝要になる。
自分の思い通りにする3原則
 簡単な例では、交通事故の被害者と示談交渉するケース。まずは相手と折衝する場を決めるが、その際に被害者は、「オレのところへ来るのが当然」と主張する。ところが、数多くの案件を抱える橋下弁護士は自分の事務所で交渉せざるを得ない。
 橋下弁護士の持論では、相手が嫌がることをこちらの思い通りにさせるには、「合法的に脅す」「利益を与える」「ひたすらお願いする」の3通りしかない。このケースでは、橋下弁護士の事務所へ来ることによって、相手に利益になることを納得させる必要がある。
 「一刻も早く解決することがお宅様の利益になります。早く解決すれば、すぐにお金が振り込まれるからです。お宅様のご自宅へ伺うのはやぶさかではありませんが、今後1カ月、変更できない訴訟の予定が詰まっているので、お宅様へ伺うとなると1カ月先になります。とにかくお宅様にお金を振り込みたいので、私どもの事務所でお話ししませんか」。こんなふうに説得すると、相手は渋々とだがやって来る。一般的に訴訟の予定は変更できないという共通認識を利用した説得だ。


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