『失われた青春への憧れ』補完ツールとしてのフェチに関する考察
【制服萌えは学校萌え】
男性の少女化願望議論の参考資料として、森岡正博「感じない男」読了。
セーラー服やブレザーを着た少女に、清涼感やゾグゾク感をかんじるのは、私がその向こうに「学校」を透かし見ているからである。すなわち、私にとっては、制服萌えとは、学校萌えの別名なのである。(77ページ) |
コレに関する考察。
http://yuu.cocolog-nifty.com/ren_ai/2005/05/post_3cff.html#c2559754
制服萌えの裏には、制服フェチの人の原動力として、学生時代の恋愛体験の不全感が存在する気がするので、森岡氏の論に納得するところがあります。 |
【裏原萌えは放課後萌え】
ああ、これは凄くよくわかる。ただ僕の場合、制服にはあまり萌えは感じず、この年頃の女子の「ルーズカジュアル系ファッション*1」(長いので以下『裏原系』と表現)に激しい萌えを感じるのだが。この萌えにも「学生時代の恋愛体験の不全感」が強く影響しているのだろうなぁ。
ここにも書いたように、僕は24歳まで童貞で、高校中退やらいじめやらでろくな青春時代を送ってこなかったので、非常に強い「学生時代の恋愛体験の不全感」や「絵に描いたような青春への憧れ」を持っている。たとえばネットを周っていて「恋に友情に性に、もう青春真っ盛り!」みたいなサイトを見ると、どうしようもない嫉妬心がこみ上げてくる自分がいて、それは僕が現在彼女持ちだとかそういうこととはまったく関係ない、「僕の中の喪闘気」なのだ。
自分自身にこういう心理があるから、「学生時代の恋愛体験の不全感」が「制服萌え」に繋がるという話はもの凄くよくわかる。ただ、同じ体験をルーツにしていても、僕が「制服」ではなく「ストリートファッション」である裏原系に萌えるのは、僕の「学校嫌い」や「若者カルチャーへのやり残し感」に関系があるのだろう。
若年女性ファッションの中でも、ギャル系ではなく裏原系に萌えるのは、僕が高校生だった1995年頃は、「Smart」の創刊などちょうど裏原系が台頭してきた時期で、「裏原系への憧れ」が自分の中に刷り込まれていることがあるのだろうし*2、それにプラスして僕の中にある「不思議ちゃん嗜好」も見逃せない。早い話、
「俺の10代はゲーオタでスクールカースト最下層一直線だったけど、同時に不思議ちゃんと恋に落ち、毎日学校帰りに俺の家でサブカルについて語り合い、週末にはラフォーレ原宿で買い物デートする、そんな青春時代も送ってみたかったんだYO!」
という魂の叫びが、今更のように僕を「裏原萌え」に駆り立てているわけだ。冒頭の「感じない男」からの引用風にいえば、
パンツとスカートを重ね穿きした少女に、サブカル感やゾグゾク感をかんじるのは、私がその向こうに「放課後」を透かし見ているからである。私にとっては、裏原萌えとは、放課後萌えの別名なのである。 |
といった感じ。そう、僕にとって「裏原萌え」とは、「絵に描いたような青春への憧れ補完ツール」なのだ。
今の彼女が自他共に認める不思議ちゃんなのも、僕が自分の年齢に対してかなり若年層向けのファッションに惹かれるのも、すべて「裏原萌え」が根底にあるのだと思う。つまり
主に学校を中心とした、絵に描いたような青春への憧れ | |
主に放課後を中心とした、絵に描いたような青春への憧れ |
こんな感じの願望が、それぞれの萌えの背景に存在しているように、僕には感じられるのだ*3。
【追記 2005.07/22】
裏原系の女優が出るAV出したらウケると思うんだけど、全然見かけない気がする。「ちんかめ」のAV版みたいな。裏原萌えはマイノリティなのか?それとも裏原萌えの中に、そこまで過激なものは求めない特性でもあるのだろうか?
*1 女子裏原系の大衆普及バージョン。ファッション誌でいうと「CUTiE」「mini」「spring」「JILLE」辺り(参照)。マンガ「ひかりのまち/浅野いにお」に登場する女の子は、この系統の格好が多い。萌え。
*2 憧れつつも手を出さなかったのは、もちろん僕が裏中二病だったから。
*3 しかしそう考えていくと、他の世代での「主に放課後を中心とした、絵に描いたような青春への憧れ」は、「ヤンキー女萌え」「オリーブ少女萌え」「ミニスカ萌え」などとして昇華されている可能性もある気がする。
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Comments
えー 1つ当事者(笑)から。
フェチと萌えは現状に似て非なるものだと個人的には思ってます。
(ただ、実際にはざっくばらんに同じカテゴリとして扱われてたりと
結構曖昧だったりしますが)
フェチはその対象に性が特化した形を見出していることに対して、
萌えはMasaoさんもおっしゃられているように「憧れ」なんですわ。
ときメモやToHeartなど大流行したゲームの多くが学園モノなのも、
「制服着てドキドキ」に憧憬を描いているためだと思われます(※)。
>裏原系の女優が出るAV出したらウケると思うんだけど~
ここらへんが微妙に難しいところで、萌えから露骨にエロスに行くと
逆に引いてしまうんじゃないかと。
やっぱり、メインは憧れっすから。ピュアに保ちたいんですよ。
※:この手の分析も流行当事に大分語られてたネタだったりします。
最後に漫画家の赤松健氏のサイト(http://www.ailove.net/diaries/diary.cgi)にて
萌えの分析を行っていますが、これがなかなかに的を得ていると思います。
ご参考までに、どうぞ。
そいではでは。
Posted by: reki | July 23, 2005 at 06:26 AM
>制服萌えの裏には、制服フェチの人の原動力として、学生時代の恋愛体験の不全感が存在する気がする
ってのは私も完全に同意.
思えば,家にあるAVの半分以上は制服モノだよ…orz.
今後どんなにひとりの女性を愛すことになっても,制服好きからの脱却はないだろうな….
私の放課後は生徒会やら文化系サークル活動やらで好き放題やってて充実しまくっていたので,渇望していたのはやっぱり「本編」の学校生活における恋愛体験だったんでしょうね.
だ,だからなのか?さんざん恋愛できないことを嘆いても,努力に本腰はいらないのは.
今努力してもそれは「中高時代の自分が,同じくらいの年齢の女の子と」恋愛することにはつながらないわけで.
今,まともに恋愛しようとすると,求められる人間的完成度があまりにも高すぎるような気がしてならないわけで.若かりし日のスクールデイズにはどんな有望株もお手ごろな値がついていて,ちょっとした偶然で手元に転がり込んできたかもしれないのに,今じゃ売買実績なしじゃ新規参入おぼつかない状態なわけで.
そりゃあ,「昔はよかった」的な恋愛懐古主義者にもなっちゃいますわな….
Posted by: Kammy+ | July 24, 2005 at 05:05 PM
>> rekiさん
なるほど、エロスは萌えとは言わないんですか。この本の萌えの定義は、「萌えるとは、性的に惹かれてドキドキすること(P.77)」とあったので、記事中でもそんな感じの意味で使わせていただきました。何が萌えで何がエロなのか、個人で定義がまちまちな気がしますね・・・・・・
>> Kammy+ さん
> 今後どんなにひとりの女性を愛すことになっても,制服好きからの脱却はないだろうな….
僕も今のところ、裏原萌えからの脱却はありえなさそうな感じです。10代の恋愛は、妙に素晴らしいもののように感じられてしまうんですよね、もう戻れないだけに。幻想なんでしょうけど、どうにもこうにも。
Posted by: Masao | July 25, 2005 at 04:46 PM
興味深いと同時に恐ろしくもありますね・・・。
未練といえばそれだけかも知れませんが、過去に欠落したものを埋め合わせようとする力が必ず何らかの形でもって表出するわけですか・・・。
恋愛に関する格差がますます広がる一方で、もし、AVやアニメ・ゲームなどを徹底的に規制した場合、どのようなことが起こるのか・・・非常に気になります。
Posted by: bluede | July 26, 2005 at 07:49 PM