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四季物語5 大ばくち「キャッツ」の成功でメガ劇団に
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浅利慶太は悩んでいた。ロンドン、ブロードウェーで大ヒットしている「キャッツ」の上演権を得たが、あまりに高額なロイヤリティーのため、ロングランが必須条件だった。しかし、日本の劇場は基本的に1か月公演が慣例化しており、当時はロングランで貸してもらえる劇場がなかった。その時、幹部の一言が浅利を動かした。「劇場を作っちゃえばいいじゃないですか」。まさにコロンブスの卵の発想だった。西新宿の空き地を都から借りて「キャッツ・シアター」を建設し、83年11月11日に「キャッツ」が幕を開けた。

大手劇団に成長していた四季をさらにメガ劇団に押し上げたのが「キャッツ」だった。フジテレビや味の素をスポンサーに得て、派手な広告宣伝は従来の演劇の枠を超えていた。チケットぴあと提携したオンラインのチケット販売は3日間で10万枚を売った。劇場建設などの費用も含めて8億円を先行投資した。劇団の蓄えをすべてつぎ込み「失敗したら、劇団は解散。自分の生命保険の金額も計算した」と、背水の陣で臨んだ浅利の予想以上の展開だった。

それまで年間公演数は500ほどだったのが、「キャッツ」後には倍の900に増えた。その後「オペラ座の怪人」「美女と野獣」などの大ヒット作を上演し、96年には2000回を突破。98年には専用の本格的劇場である四季劇場「春」「秋」を建設し、こけら落としの「ライオンキング」は9年目の今もロングランを続けている。「李香蘭」「異国の丘」「南十字星」などオリジナルミュージカルも相次いで上演し、海外でもロンドン、中国、韓国、シンガポールで公演を成功させている。

四季の躍進は演劇界に大きな影響を及ぼした。東宝でも「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」などでロングランを行うようになった。また、四季以外のミュージカルの舞台で活躍している俳優は四季出身の「モトシキ(元四季)」が多い。鹿賀丈史、市村正親、山口祐一郎、今井清隆、鈴木綜馬、堀内敬子など。四季が日本のミュージカルを支えている現状がある。

来年、四季は創立55周年を迎えるが、浅利はそこで劇作塾を始めようと思っている。「いい本がないんだな。60年代に石原慎太郎、寺山修司で創作劇をやったけれど、興行的に失敗した。それ以来、創作劇に手を付けなかった。来年『劇作塾』を作り、いい劇作を書く人を育てていきたい」。

四季ブランドには海外の信頼も厚い。今、ヒット作品をブロードウェー、ロンドンで上演しているカンパニーからは日本での上演の引き合いも多い。国内では劇場建設の依頼も絶えないという。浅利は「仮設劇場の場合、躯体だけなら5億円ぐらいで建てられるし、中都市なら運営できる」と確信を込めて言った。演劇をビジネスとして成功させた劇団四季。次なる一手は何か。すでに創立55周年に向けて新作のミュージカル上演の準備に動きだしている。

(日刊スポーツ 林尚之さん)
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