織田無道というと懐かしい名前なんだが、週刊新潮で乱世疾走/怪しい100万ドル紙幣で金を無心「織田無道」と記事になってるようだ。読んでないのでアレなんだが、その続きみたいな話が山岡さんちで出ています。まぁ、例によって有料サイトなんで詳しくは書けないんだが、
さる事情通が解説する。
「国内ではいまや詐欺師呼ばわりされている織田ですが、海外では未だに宗教家として引っ張りだこで、人脈もかなりのものがある。それで、たくさんの100万㌦紙幣を所有していたM氏なる人物の関係者が織田に接触、1枚だけ渡して換金できるルートがないかと相談したのが契機。昨年後半のことです。
どうも、100万ドル紙幣というのは何種類かあるらしい。もちろん、公式にはそんなモノは存在しない事になっているので、どこに持っていっても両替なんかしてくれない。で、週刊新潮の記事の要旨は、こんな具合。
・イベント構成を依頼されたデザイン会社社長「5月ごろ、彼から100万ドル紙幣のカラーコピーを見せられた。天皇家の系図まで持ち出し東久邇宮が所有しているもので自分が換金を任されている。アメリカのFRBが発行したものだから間違いない。1束で100億円だと、その束を並べた写真を見せられた。この紙幣を1億か2億で売りたいから協力してくれと頼まれたが、詐欺話なのでその場で断った」
・実はこの紙幣、4年前に熊本県内である会社社長が持ち回り、数人から1億円以上を騙し取った事件にも使われたもの。
セッド・ジニアスなんて名前も出てくるんだが、アレだね、プロレスやるんだったら会場でやってくれ、という類いの人種なんだが、最近はこの100万ドル紙幣というのが流行らしい。アメリカではコレで捕まる人が何人も出ている。
ジョージア州オーガスタに住むアレクサンダー・スミス(31)は、偽の100万ドル紙幣を預金して口座を開設しようとしたのだ。エーケン郡保安官事務所が26日、明らかにした。
行員はもちろん開設を拒否、スミスが行員を罵り始めると警察に通報した。
これだけじゃない、オンナも捕まっている。
米ジョージア州コビントン(AP) アトランタから南東へ約30マイル(48キロ)離れたるコビントン市内のスーパー、ウォルマートで今月5日、1675ドル(約18万5900円)相当の買い物をした女性が、存在しない「100万ドル札」で支払いを求め、店員が警察に通報、紙幣偽造罪などで逮捕される事件があった。
こちらは2004年なので、以前からこのネタはあるようだ。つうか、おいらが思い出すのはマーク・トウェインなんだが、短編で「百万ポンド紙幣」というのがあるわけだ。おいら、マーク・トウェインが大好きで、小学校4年で学校の図書館にあった全集を全巻読破しているんだが、「百万ポンド紙幣」というのは有名な短編だ。どういう話なのかというと、
アメリカから無一文で流れ着いた青年が、物好きな貴族の賭けのネタにされて、ナントカ銀行が特別に作った記念紙幣「百万ポンドの紙幣」を一枚渡される。一週間後にその紙幣を持ってこれたら兄の勝ち、持って来れなかったら弟の勝ちというやつだ。
もちろん流れ着いたのでぼろぼろの服しか着ていない。そこでとりあえず仕立て屋にいく。一番安い既製服を下さい、と店員に話しかけると、持って来る。「細かいのないのですが」と弁解すると「ええ、あなたのようなお客様はたいてい細かいお金を持っていませんよ」と嫌味を言われる。だが、百万ポンドの紙幣を見せると態度が豹変し、店主が出てきて店員を叱り付け…。
ネタバレしちゃうと、男はコレで一躍、有名人になってしまうわけだ。どこに行っても釣り銭がないわけで、逆に「そんな高額紙幣を持っているんだから実は金持ちに違いない」と相手が思い込み、「お代はいつでも結構で」と言われてしまう。あげく、「百万ポンドの男」と呼ばれて社交界の花形になって・・・という、まぁ、トウェインお得意のホラ話なんだが、この時代の百万ポンドというと、今の相場で100億円くらいのようで。
いわば、古典的な手口ではあるんだが、さすがに織田無道だけあって笑わせてくれる。で、ついでに思い出したんだが、おいら、子供の頃に「戦前の1000円札」というのを見た事があるわけだ。朝鮮だったか満州だったかで医者をやっていた人がいて、その子供が同級生だった。で、学校に持ってきて見せてくれたわけだ。戦前の1000円というと「千両普請」という言葉があって、けっこう立派な家が建ったと言われるほどの金額なんだけどね。へぇ、そんな昔に1000円札があったのか、と記憶に残っていたんだが、改めて調べてみた。と、なかなか面白い話があるわけだ。
これも、公式には「戦前の1000円札」というのは存在しない事になっている。終戦までに発行されたのは100円札が最高額なんだが、実は、幻の1000円札が存在した。それは昭和16年から刷られていた紙幣なんだが、使われないままずっと日銀の金庫で眠っていて、終戦直後の昭和20年8月17日に、インフレ対策で出荷されているわけだ。ところが、その半年後には「新円切替」があり、回収されてしまう。
日本武尊の千円札は高額な上に発行後半年しかたっていなくて殆ど出回ってい ませんでしたが、それがこの新円切り替えにより当然ほぼ全部回収されてしま います。従ってこの紙幣は現在ではまず持っている人のいない「幻の紙幣」と なりました。当時その紙幣を持ったまま外国へ行っていて交換できなかったよ うな人たちの手にわずかに残った程度でしょうか。その実物は日本銀行の貨幣 博物館に展示されています。
新円切替はわずか11日間しか期間がなくて、しかも一人100円までという制限付きだったので、ドサクサで交換できなかったモノが、ごく少数、残っているらしい。おいらが見た1000円紙幣の所有者も外地にいたというので、持っていても不思議ではないのだ。これ、ほとんど市中に存在しないので「幻の紙幣」と呼ばれているんだが、そこそこ程度がいいと28万円とかの値段がつくようだ。
最近のコメント