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【主張】会期再延長 参院無用論にならないか
国会が会期末を迎えることから、政府・与党は新テロ対策特別措置法案の成立に向けて、約1カ月間の再延長に踏み切る。
民主党は反対姿勢を変えず、対案も出さず、防衛省疑惑の解明が先決だと主張する。時間を稼ぎ、採決を遅らせようというねらいは明白である。
再延長した会期ぎりぎりまで民主党が採決を引っ張り、あるいは採決しない可能性もある。憲法上の規定で、参院送付後60日を経て「みなし否決」となるまでは、与党が多数でも衆院は手を出せないことを計算した作戦だ。
責任政党としての疑問を増大させ、参院無用論を招く行為にほかならない。小沢一郎代表ら執行部は、そうした批判を覚悟で臨むというのか。
再延長の方針は、法案が参院で否決されても、衆院の3分の2の賛成で再議決する腹積もりを政府・与党がようやく固めたことを意味する。
与党とくに公明党には再議決に慎重な意見もあった。しかし、日本の国益がかかり、国際協調行動でもあるテロとの戦いから離脱したまま、新テロ法案を先送りする選択肢は、政権運営に責任を負う立場からは、とり得ないだろう。参院での法案採決時期にめどが立たないため、年をまたぐ変則的な会期延長となるのも仕方あるまい。
福田康夫首相は11月の小沢氏との党首会談で、大連立論を含めた協調路線を模索した。しかし、民主党内で政策協議の開始を否定された小沢氏は、「みんなが反対だから」と話し合いの道を閉ざし、とりわけ新テロ法案には棒を飲んだような対応だった。
首相としては、相手が乗ってこないのに待ち続けるわけにはいかない。再議決で懸案を処理しようというのは当然の帰結といえよう。
あれだけこぶしを振り上げていた額賀福志郎財務相への証人喚問が、野党共闘の足並みの乱れで頓挫した後、民主党の疑惑追及姿勢にはあいまいさもみられる。
本気で防衛省疑惑を解明するなら、率先して参院に調査特別委員会を設置するのが筋ではないか。
法案審議とは切り離し、資料要求や関係者の国会招致を気がすむまでやればよい。疑惑解明を口実にするような審議拒否戦術は、見苦しい限りだ。