地球発熱
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【社会】政治決断重ねて要請 薬害肝炎訴訟 原告団 首相と面会できず2007年12月11日 朝刊
大阪高裁の和解骨子案が十三日に書面で正式提示される薬害C型肝炎訴訟で、原告・弁護団の代表は十日、首相官邸で大野松茂官房副長官と面会し、提示前の福田康夫首相との面会を要請、薬害被害者全員を一律に救済する政治決断をあらためて求めた。舛添要一厚生労働相が薬害と認めて謝罪をしていただけに、原告団は会見で「裏切られた」などと落胆。だが、和解案提示前の福田首相との面会は厳しい情勢という。 大阪高裁は先週、国側の主張に沿う形で、国と製薬会社の責任範囲を最も限定した東京地裁判決を基準に、患者に解決金を支払う和解骨子案の概要を原告、被告双方に口頭で伝えた。 これに対し、原告側は「正式に提示されれば、全員一律救済は果たせないので拒否せざるを得ない」と表明。和解協議を打ち切る可能性も示唆している。 原告側の“頼みの綱”は福田首相の政治決断。だが、首相は十日の国会答弁で「和解案提示を待って早く処理する」と提示前の面会には難色を示した。原告側の面会要請に対し、大野官房副長官は「首相に伝える」と答えた。 「信じてたのに」声震わせて会見「これ以上何をすればいいんでしょうか」「気持ちも体も限界です」。福田首相の政治決断を求め、官邸を訪れた薬害肝炎訴訟の原告たち。だが、その悲痛な叫びは届かず、重い扉は依然閉じられたままだ。 大野官房副長官との面会後、全国原告団代表の山口美智子さん(51)や九州原告の福田衣里子さん(27)らは国会近くで報告集会に臨んだ。 山口さんは「舛添大臣の素晴らしい言葉を聞きながら、福田総理が何とか政治決断をしてくれるものと今日まで信じていた。しかし、裏切られた。もうこの内閣には期待できない」と肩と声を震わせ、涙を流した。 「今まで頑張ってきたつもりでしたが、力不足だった。何をすれば…いいのか…」と福田さんは絶句。「一日も早く解決して、皆に治療を受けて元気になってもらうために動いている。それが果たせなければ、生きている意味がない。そのために生きているようなものなのに、何の役にも立てない。悔しい」と唇をかんだ。 これに先立ち、原告や支援者ら約三百人は「切り捨てるな、薬害被害者を」と厚労省前で訴えた後、徒歩で官邸へ。肝臓がんの原告も病を押して九州から駆けつけた。
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