「親切なクムジャさん」は今日から封切りだが、昨日22時からあった公開前夜祭「復讐三部作」オールナイト一挙公開に行って来て一足先に見てきた。実はパク・チャヌク監督の復讐三部作の先行の二つ「オールド・ボーイ」「復讐者に憐れみを」も初めて見た。どの作品もテンポがいいので、見事寝ないで朝を迎えた。詳細はまた近いうちに映画評論に書こうと思うけど、とりあえず一言コメントだけでも。
・クムジャさん
コミカルで笑わせるシーン(但しそのコミカルさを単純な笑いとだけとっていてはだめだろう)もあり、娯楽性もある程度示した復讐のストーリー。三作品の中で複雑性がもっとも低いということもあり、ストーリーを単純に追うだけなら最も楽しめるのではないかと思う。途中の宮台真司氏のトークショーのときに「三作品で一番好きなのは?」の観客に質問したらクムジャさんをあげた人は女性がほとんどだった。けっこう興味深い。
復讐シーンをコミカルに見てしまうか、社会的制裁者としてのクムジャさんの存在とそれに先導される狂った「一般人」の構図を読むかによって判断は分かれるように思った。私は後者であるが、後者でとるとラストシーンは生ぬるさを感じてしまうことを禁じえない。
・オールドボーイ
復讐者×復讐者のストーリー。復讐者が被復讐者を意図的に復讐者に変容させ、生きる目的としての復讐を「貫徹」させようとしている。また変容させられた方の復讐者は自分が復讐者にさせられた謎を探る。その歴史を辿りきることによりお互いがある種の赦しを得て終わる。「復讐が生きること」 これがキー。
・復讐者に憐れみを
三作品の中でもっともよかった。小さなずれが重なり壮大な復讐劇となる。しかしそこにはありようのなさというものはなく、プロットは相当に練られている。またdetailもかなり練られていて、その意味を逐一考えていくだけで相当いろいろ考えられる。救いのなさとしては復讐劇の「オーソドックス」と言えるだろうが、下手をするとただの殺しあいの果てのすっきり系で終わってしまう。それをさせないだけ練られた素晴らしいものだった。