平成8年2月2８日、夜８時に私は吉田府議宅に高橋秘書を伴い出向いた。「何や、一人で来たんとちがうんですか」自分は市議と弟を同席させておきながら、私を咎めるように言う。「いや、大切なお話のようですから、私一人で聞き漏らすといけませんので秘書を同行させてもらいました。都合が悪ければ対々の話にさせてもらいましょうか」と切り返すと、「いや、別に構いません」とトーンの下った応対になった。
部屋に通され着座するなり、「林さんは今度の選挙、どんな形でやるんですか。党営選挙ですか、それとも個人でやるんですか。」「自民党公認候補として選挙をやるんですから、当然、党営選挙です」「だったら金がかかりますよ。私を含めて市議町議８名。そうですな、まず一千万円、私に預けてもらいましょうか。私や角さん（唯一の関大出身市議）は別にゼニ・カネで動くようなことはありませんが、他の人は渡さな動きませんよ」ときた。かさにかかるように府議の弟が、「私も原田憲先生の選挙を何度も手伝っていますが、兄と角先生以外の人は何もしません。お金使わんと選挙勝てませんよ」とたたみかけてくる。
実はお金の件については、原田憲先生からも、亀井静香先生からもよく聞かされていた。特に原田先生からは「高槻・島本の議員はまともに手伝わんよ。金を渡しても、渡さんでも、やる人間はやる。やらん奴に金を渡すほどバカなことはないだろう。だから先に金を渡すようなアホなことはしたらだめだよ。特に府議には気をつけろ。あいつは二言目にはカネ、カネという男だから。渡しても何もせんぞ」。
私はこの言葉を、亡き原田憲先生の遺言として、今もしっかり胸に刻んでいる。