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【国際】

イランがウラン濃縮拡大 分離機3000基設置とIAEA報告書

2007年11月16日 夕刊

 【ベルリン=三浦耕喜】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は15日、イランの核開発問題で、イランがIAEAによる検証に協力する一方、約3000基の遠心分離機の設置を完了するなどウラン濃縮関連活動を拡大させているとする報告書を理事国に配布した。

 米国や欧州諸国は、イランは濃縮停止を求めた国連安全保障理事会の制裁決議に反しているとして、3回目の制裁を求める方針。一方、ロシアと中国はIAEAによる解明を待つ構えをみせており、対イラン制裁をめぐるせめぎ合いが激しさを増しそうだ。

 報告書によると、イランは中部ナタンツの核施設地下に遠心分離機のカスケード(分離機を連結したセット)18組を設置、稼働していた。一組のカスケードは164基の遠心分離機からなり、計2952基の遠心分離機に原料の六フッ化ウランを注入した。

 昨年2月にIAEAが同問題を安保理に付託した時点では、遠心分離機は約20基だったが、この間にイランは濃縮を拡大。本格稼働すれば、理論上、1年程度で核兵器1個分の高濃縮ウランを製造できる。

 一方、イランはIAEAと合意した「行動計画」に基づき、遠心分離機の技術などを「核の闇市場」から入手した経緯について説明。核爆弾製造に必要な半球形の金属ウランを製造する資料を所持していた疑惑についても、イランは文書の写しを提出した。

 文書について、イランは1987年に入手した遠心分離機の資料に紛れていたもので、製造の意図はなかったと釈明している。

 報告書で、エルバラダイ事務局長は「イランが完全な査察を受け入れていない以上、未申告の活動がないとは保証できない」として、抜き打ち査察を認める追加議定書の早期批准を求めた。

 

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