詳細は不明だが、教科書検定審議会が、真意解読のむずかしい『指針』を口頭で教科書会社に説明した模様。
以下、いくつかの報道。
http://www.47news.jp/CN/200712/CN2007120601000866.html
検定審「軍強制」容認へ【時事】教科書会社に指針提示
沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史教科書の検定問題で、教科書検定審議会が「日本軍の命令があった」など直接的な関与を避けた表現の範囲内で、軍による強制の記述の復活を認める指針を決め、文部科学省を通じ各教科書会社に伝えていたことが6日、複数の関係者の話で分かった。
国家への忠誠を強いた皇民化教育や、軍が捕虜になることを認めず住民に手りゅう弾を配っていたことなど当時の背景を説明して「事実上の軍による強制」を記述することを認める一方、軍が直接自決を命令した事例は確認されていないとして「誤解するおそれがある」と記述変更を求めた検定意見そのものの撤回はしない方針。
教科書会社の一部は提出した訂正申請の内容を、検定審の指針に従って部分修正し再提出することを既に決定。検定審は今月中にも最終的な結論を出す見通しだが、審議を進める中でさらに表現の修正を教科書会社に求める可能性もある。
2007/12/0702:19 【共同通信】
http://book.jiji.com/kyouin/cgi-bin/edu.cgi?20071207-4
「玉虫色」部分を、共同通信と時事通信とが、まったく逆の解釈。2007年12月07日19時33分
●集団自決、軍強制断定に疑問=教科書検定審
沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、日本軍の強制があったとする記述を復活させる教科書会社からの訂正申請について審査している教科用図書検定調査審議会で、強制があったと断定した記述に対し疑問を呈する意見が多く出されていることが6日、関係者の話で分かった。
関係者によると、沖縄県民が精神的な極限状態で集団自決に追い込まれた要因には、日本軍の存在を含めた多様な背景があり、「強制や命令といった一面的な記述は妥当ではない」という意見が審議会で大勢を占めているという。
こうした見解は、文部科学省を通じて教科書会社側にも伝えられ、一部の社には訂正申請の取り下げや、より多面的な要素を盛り込んだ表現での再申請を模索する動きがあるという。
検定をめぐっては、軍強制の記述を削除した教科書会社5社を含む6社が訂正申請。「殺しあいを強制した」や「日本軍によって『集団自決』においこまれた」と直接の強制を示す記述もあった。同審議会の日本史小委員会が内容を審査しており、既に数回の会合が開かれている。 審議会は、複数の沖縄戦の専門家からも意見を聞いており、年内に結論を出す方針。文科省は、審議会の結論を基に承認するかどうか決める。(了)
【産経】
http://sankei.jp.msn.com/life/education/071207/edc0712071126001-n1.htm
文科相「コメントできない」 集団自決軍強制 教科書検定審の意向に
2007.12.7
11:26
沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書の検定問題で、教科書検定審議会が「自決には多様な背景があった」とした考えを、文部科学省が教科書会社に伝えたことについて、渡海紀三朗文部科学相は7日、閣議後会見で「今の段階でコメントは差し控えたい」と述べた。
文科省は教科書会社に対し、教科書審議会の考えを伝え「軍の命令・強制」を強調した記述の根拠を示すよう求めると共に、一部書き換えて再度申請するよう示唆している。
msn産経も産経izaも、検定審の「指針」内容については未だ報道せず。後出し報道で印象操作する作戦か。
産経は他紙追随短報をyahooに流すのみ12/8:0945
http://s04.megalodon.jp/2007-1208-0949-00/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071207-00000140-san-pol
【毎日】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071207k0000e040002000c.html
教科書検定:「沖縄戦集団自決の背景は多様」…審議会
沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定問題で、文部科学相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会が複数の教科書会社に対し、「集団自決は多様な背景、要因がある」という検定審議会の考え方を伝えていることが6日、関係者の話で分かった。教科書会社側は同趣旨の記述をすることが必要と受け止めており、一部では再訂正のため記述を見直す会社も出ている。
関係者によると、検定審議会は文科省を通し、複数の教科書会社に記述の根拠や趣旨の確認作業を行っており、その際、検定審議会の考え方も口頭で伝えたという。
訂正申請をしている教科書会社の執筆者は「内容を詳しく書き換える。だが、(日本軍の強制性を明示する)趣旨は変わらない」と話している。
【高山純二】
毎日新聞 2007年12月7日 7時43分
【朝日】
http://www.asahi.com/national/update/1207/TKY200712070178.html
沖縄戦集団自決「多様な要因」 教科書問題で審議会2007年12月07日13時33分
沖縄戦の「集団自決」をめぐる高校の教科書検定問題で、教科用図書検定調査審議会(文部科学相の諮問機関)が「集団自決は多様な要因で起きている」という考え方をまとめ、文科省を通じて教科書会社各社に伝えていたことがわかった。また、文科省は各社に記述の根拠の説明を求めており、教科書会社によってはより詳しく書き込んだ上で、改めて訂正を申請する方針という。
この問題では6社が訂正申請を済ませた。これを受け、検定審の日本史小委員会は沖縄戦や軍事史の専門家から意見をきいている。その結果、「沖縄戦の実態について誤解するおそれがある」という当初の検定意見は維持する一方、「軍官民一体となった沖縄戦で、集団自決は多様な要因によって起きた」という趣旨の意見をまとめ、こうした事情も記すよう求めているという。
沖縄は「撤回せず」に怒ってるようだ
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29555-storytopic-1.html
教科書検定審:「軍強制」削除撤回せず
【東京】高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)検定問題で教科用図書検定調査審議会(杉山武彦会長)は「集団自決」の背景を詳述する必要性を認める一方で、日本軍の「直接的な命令」「強制」についての断定的記述は「生徒が誤解する」との指針をまとめ、文部科学省の教科書調査官を通じて教科書出版社6社に通知していたことが6日、分かった。「集団自決」の軍強制を削除させた検定意見は撤回しない。関係者が同日午後、明らかにした。
教科書各社は訂正申請で日本軍の強制を明確にした記述に戻すよう求めているが、同指針によって申請通りの記述復活は困難となった。関係者の間からは「軍の強制性が薄められる」との懸念も出ている。教科書各社は訂正申請の再検討に入る見込みだが、記述修正をめぐる調整はなお難航しそうだ。
審議会がまとめた指針は「集団自決」の背景には「複合的な要因が存在する」と指摘し、詳しく記述することを認めた。その一方で「日本軍の直接的な命令で『集団自決』が起きた例は確認できていない」などと説明。「軍がやった」「命令した」という単純化した表現では「誤解する」として、断定的記述は避けるよう示唆した。
文科省は4日以降、教科書各社の役員や編集責任者を同省に呼び、教科書調査官が指針の内容を口頭で説明した。調査官は訂正申請の承認の可否など、具体的な見解は示さなかったという。
「複合的な要因」を詳述することを認めた指針を受け、教科書出版社は皇民化教育の存在や手投げ弾の配布などについて記述することで「集団自決」の背景を明らかにする考えだ。しかし、直接的な「日本軍の強制」を明確にした記述の復活ができない以上、「日本軍の関与」というあいまいな表現にとどまる可能性が強い。教科書各社は申請内容の再検討で苦しい判断を強いられそうだ。
審議会が出した指針について執筆者の一人は「非常に抽象的ではっきりしない。だが軍の強制性を薄めるような形にして、訂正申請を認める方向に持っていこうとしているのだろう」と意図を指摘。指針を受けた記述の手直しについて「軍の強制性は後退させず、背景説明を加えることで、高校生が『集団自決』という現象を理解しやすくなる」と話した。
(琉球新報) 2007年12月7日
【沖縄タイムズ】
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712071300_02.html
2007年12月7日(金) 朝刊 1・31面
文科省、軍命明記回避を要請/再申請指針示す
【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で文部科学省が今月四日、訂正申請した教科書会社の担当者を同省に呼び、記述内容をあらためて再申請させるための教科書審議会の「指針」を示し、その中で「軍の命令」を明記しないよう求めていたことが六日、分かった。関係者によると、同省の教科書調査官が各社に「軍から直接、命令した事例は確認できていない」と伝えたという。
訂正申請した六社のうち一社は六日、「日本軍の強制」を再度明記した上で、「集団自決」の背景に日本軍が住民に米軍の捕虜になることを許さなかった事情があるなどの説明を加え、週明けにも再申請する方針を決めた。ほかに二社は、再申請を決めているという。
「指針」は軍命の明記を禁じたほか、「集団自決」に複合的な要因があったと明示するよう要望。具体的には
(1)天皇中心の国家への忠誠を強いた皇民化教育の存在
(2)軍が住民に手榴弾を配った事実
(3)沖縄戦は軍官民が一体となった地上戦―
などの特殊事情を説明するよう求めたという。
これらを明記することで「軍の強制」をうかがわせる記述を可能にすることが狙いとみられる。ただ、「軍の強制」や「『日本軍』の主語」を記述していいかどうかは明らかにしておらず強制性を明確に記述できるか不透明だ。
再申請を受け、教科用図書検定調査審議会は再度、複数回の会合を開く見通し。結論は当初の見通しより遅れ、今月下旬になるとみられる。
◇ ◇ ◇
強制「絶対譲れぬ」/県内反発 記述求める
「集団自決(強制集団死)」の軍強制が削除された教科書検定問題で、教科用図書検定調査審議会が「日本軍の命令」など直接的な関与を避けた表現の範囲内で、教科書会社に記述の再申請をさせる方針を決めたことに、同問題に取り組む団体や研究者、体験者から強い批判が上がった。「軍の強制を認めないなら意味がない」「検定意見の押し付けには変わりがない」と怒りが渦巻いた。一方で、「執筆者は勇気を持って真実を書いて」と支援する声もあった。
「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の玉寄哲永副委員長は「『集団自決』が起きた背景をきちんと書き込めというのであれば『軍の強制』という記述を認めるべきだ。それでなければ文科省は何のために出版社の訂正申請を認めたのか分からない。強制の事実を薄めるようなことがあってはならない」と警戒した。
沖縄戦研究者として審議会に意見書を提出した林博史・関東学院大学教授は「軍強制の記述が認められないなら、皇民化教育や『軍官民共生共死』について書いても、元の検定と同じで、とても認められない」と指摘する。沖縄戦全般についても「住民が日本軍によって追い詰められたことが沖縄戦の特徴。そこを書かせないのは、『集団自決』を含めて沖縄県民の犠牲の本質を歪曲するものだ」と批判した。
座間味島の体験者、宮城恒彦さんは「『日本軍が』という主語と『強要』『強制』の表現は絶対に譲れない。まだ心配が続く」とため息をついた。文科省が再度訂正申請を求めたことに、「ここまで執着する背景には、政治的な圧力や意図があるのではないか。教科書会社や執筆者は苦しいだろうが、勇気を持って真実を貫いてほしい。歴史がどちらが正しいか証明する」と力を込めた。
「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」の共同代表、高嶋伸欣・琉球大学教授は「昨年度の検定で突然、不当な意見をつけたことに対し、沖縄の人々の怒りを正面から受け止めていない」とあきれた。「軍が住民を追い込んだことに疑問の余地はない。検定意見の扱い方は、日本軍の責任を薄めようとしているだけ。検定意見を押し付けている事態は変わらない」と憤った。
沖縄戦研究者の大城将保さんは「(日本軍の関与を削除するよう求めた検定意見は)完全な事実誤認であり、沖縄の県民世論への配慮や、政治的な落としどころをもってして済む話ではない。検定意見を撤回しなければ抜本的な解決にはならず、あいまいにしておけばまた繰り返される恐れがある」と指摘。
アジア近現代史への配慮を定めた検定基準の「近隣諸国条項」を念頭に「沖縄戦については本土ではまだまだ知られていない部分があるので、検定意見の撤回と併せ、沖縄条項を設ける必要がある」と話した。
記述訂正申請 書き直し要求
文部科学省が高校日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた教科書検定問題で、教科用図書検定調査審議会が六日までに、教科書会社からの記述訂正の申請に対し、記述の書き直しを求める方針を決めていたことが分かった。
by ni0615
教科書が教えない歴史(1)恣…