治療などの診療報酬、8年ぶり増額 0.1%増で調整2007年12月12日07時39分 政府は11日、08年度予算編成の焦点となっていた診療報酬改定で、薬価改定分を除く治療などの「本体部分」を引き上げる方向で検討に入った。引き上げ幅は0.1%を軸に調整しており、8年ぶりの増額改定となる。過疎地での医師不足などが指摘されるなか、次期衆院選をにらみ、医療問題に積極的に取り組む姿勢をアピールする狙いがありそうだ。 診療報酬は、手術や検査などの「本体部分」と、薬価などで構成。ほぼ2年ごとに見直されており、08年度は改定時期にあたる。今回増額される方向になったのは、医師の収入に直結する「本体部分」。0.1%増には、80億円程度の財源が必要になる見通しで、財務省と厚生労働省は財源をどう捻出(ねんしゅつ)するのかについて検討に入った。ただ、与党には引き上げ幅拡大を求める声もあり、必要となる財源が膨らむ可能性も消えていない。 医療費をめぐっては、小泉政権が患者の自己負担増と保険料の引き上げ、医療機関の収入抑制の「三方一両損」が必要だと主張。02年度には診療報酬本体部分について1.3%減と初のマイナス改定に切り込んだ。04年度には据え置いたが、06年度には再び1.36%の減額改定を実施した。今回引き上げられると、00年度に1.9%増額されて以来となる。 医療費は税金や保険料、患者負担で賄われているため、診療報酬の引き下げは全体として国民の負担減につながる。ただ、医療現場からは診療報酬の引き下げで地域の医療機関が疲弊しているとして「現在の医療崩壊の最大の原因になっている」との声が出ていた。 診療報酬について、財務省は引き下げを求めてきた。08年度予算編成の大枠を示す概算要求基準(シーリング)で、医療費を含めた社会保障費について2200億円の抑制が決められたからだ。 これに対し厚労省は診療報酬のもう一つの柱である薬価を市場価格に応じて1%程度引き下げることや、中小企業向けの政府管掌健康保険への国庫負担を、大企業の健康保険組合に肩代わりしてもらうことで調整。シーリングを達成できる見通しがついたと判断し、診療報酬本体を増額することにした。 《診療報酬》 病院や診療所が提供した医療サービスに対して、医療保険制度に基づいて支払われる報酬をいう。治療内容に応じて、報酬額の基礎となる点数が細かく定められている。治療に対して支払われる本体部分と、薬などに対して払われる部分に分かれる。 ほぼ2年ごとに行われる診療報酬改定で、総額が決められ、それに応じて点数の配分が決まる。 PR情報この記事の関連情報政治
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