きのうに続いて、能登・加賀の海岸に漂着した木材の話。持ち去り騒ぎが相次ぎ、一夜で約七百本が消えた浜もあるという 法律違反の疑いがあるのだが、もとより悪気のある話ではなかろう。海水に漬かった木材は商品価値を減じている。放っておけば、やがて沿岸自治体が漂着物として余計な手間と費用をかけて処理することになる。だから、持ち去りをやめよと警告する方も、いささか及び腰だとか 物事には建前もあれば本音もある。海に大量の木材を放り出し、知らん顔をしているヤツが一番悪いに決まっている。物騒にも、まだ多くの木材が冬の海を漂流している 木材より、もっと深刻な漂流騒ぎが、宙に浮いた五千万件の年金記録である。社保庁は、持ち主が判明しそうなのは二割に過ぎず、四割が難航、二割が困難だと明らかにした。「最後の一人、最後の一円まで」という政治家の建前をうのみにした人もいないだろうが、実際とのあまりの隔たりに空恐ろしくなる 赤字垂れ流しの施設などの無駄遣いに浪費された揚げ句、国民に新たなツケを回す年金制度である。お役所仕事のたるみは、荒れる日本海より怖い。
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