2007年12月12日 0時43分更新
大手建設会社の鹿島がキヤノンの工場建設でねん出した使途秘匿金の一部がキヤノンの御手洗会長の知り合いの業者に流れていたと見られる問題で、この業者が経営する会社がキヤノン本社の役員室に備品を納入したり、各地の施設の下請け工事に入るなど、キヤノンと直接・間接に多数の取引があることが明らかになりました。
この問題は、鹿島が大分市のキヤノン工場の建設をめぐって東京国税局から指摘された使途秘匿金の一部が日本経団連の会長を務めるキヤノンの御手洗会長の知り合いの業者に流れたと見られているものです。
この業者が経営する3つの会社は、いずれも社員が数人しかいませんが、NHKが自治体に提出された資料を調べるなどしたところ、キヤノンと直接・間接に多数の取引があることが明らかになりました。このうち、▼キヤノン本社では役員フロアの家具などの備品をこの業者に発注していたほか、周辺の一部の施設の工事をキヤノンが直接発注していました。
また、▼大分県由布市に建設された保養施設についてはキヤノンがこの業者から土地を買い取り、関連する工事も発注していました。さらに、▼宇都宮工場や川崎市の研修センターなど3か所で大手建設会社の下請けに入り、合わせて4億1000万円余りで受注していました。
この業者について、これまでキヤノンは、大分工場については警備業務の契約を明らかにしていて、御手洗会長も10日の記者会見で「鹿島とどういう関係にあるのか知らないが、キヤノンとは全く関係がないと断言しておきます」と述べています。
キヤノン広報部は、「直接の契約については、コストや技術を評価してこの業者を選定していて特に問題ないと考えている。工場建設の下請けについては承知していない」としています。