8日午前7時ごろ、十勝管内大樹町美成の同町多目的航空公園で、NPO法人「北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)」などが実験で打ち上げたハイブリッドロケット「CAMUI(カムイ)ー90P」(全長2.9メートル、直径12センチ、重量21キロ)が発射台から約25メートル離れたテント上に落下。ビニールの屋根を突き破り、地面に突き刺さった。テント下にいたスタッフ8人にけがはなかった。
同センターによると、今回の実験は公立はこだて未来大(函館市)の依頼で実施。ロケットは同大が製作した缶状の人工衛星(高さ2.5センチ、直径10センチ、重量900グラム)を搭載し、上空1000メートルで衛星を分離させた後、パラシュートでゆっくり落下するはずだった。ところが、何らかの原因で分離に失敗したために分離システムと連動するパラシュートが開かず、垂直に落下した。
カムイは北海道大大学院の永田晴紀教授が初の道産ロケットとして開発。ポリエチレンと液体酸素を燃やし推進力にする。同センターの打ち上げ実験は8回目で、失敗したのは初めて。
この日は3回打ち上げる予定で、事故は1回目に起きた。2、3回目は中止となった。実験には同センターや同大など54人が参加。一般の見学者9人も発射台から約200メートル離れた地点にいた。
同センターの伊藤献一副理事長は「安全性に対する甘さがあった」との認識を示し、永田教授は「原因が究明されるまで今後の実験の予定は決められない」と話した。
届け出を受けた広尾署は関係者から事情を聴き、安全対策を徹底するよう申し入れる方針。【仲田力行】
毎日新聞 2007年12月8日 21時04分 (最終更新時間 12月8日 21時14分)