闘う!文化祭/翡翠

もう、10年も前の文化祭の話ですが、
  うちの高校は、地元では有名なヤンキー率の高い
  高校でした。

  私のクラスの半分もヤンキーでしたが、私は
  普通の生徒とも、ヤンキー軍団とも、仲が良かったんです。

 ヤンキーではなかったけれど、パンクスだったので、
 頭をツンツン立てて、学校に通っていたのが、彼らに
 親近感を持たせたのかもしれません。


 文化祭なんて、だりーーーーーというような生徒達ばかりでしたが、
 とりあえず、何かイベントを考えて実行しなければ、いけないわけですよ、当然。


 たまたま、クラスの男子生徒が、ビリヤード台や、その一式を
 持っている事が、判明し、私達クラスはそれメインでいこう!
  と、不精にもそう、決めたのです。


  そして、後は適当に、本を持ち寄って置いて、それを
  読んでもらおうと言うことになりました。

  本当に不精ですね(笑)

  ただ、看板は作らなくてはいけなかったので、それはクラスの美術部員が、担当してくれることとなり、クラスの出し物は決まりました。


 ビリヤード台を、運ぶのは、大変なようでしたが、
 それさえ置いてしまい、読書コーナーを作れば、
 そこは、立派な会場の1つになりました。


 交代で、留守番をし、お客さんを待つ。
 幸いなことに、うちのクラスは、お客さんが
  ほとんど来ない!!

  私は、留守番を終えると、友達数人と体育館での
 LIVE、勿論、高校の生徒のです、を見に行きました。
 下手くそなんだけど、口笛鳴らしたり、煽りを入れたりと、
 楽しい時間を過ごし、後は適当に、他の学年クラスを
 一巡し、疲れたから教室に、帰ろうと、我がクラスに戻り、
 本を読んで、リラックスしていました。


 そこに、同じ学年の他クラスのヤンキーの男子が
 いきって、肩で風切って、入ってきたのです。
 私は、彼が嫌いでした。顔がよく、喧嘩も強いので
 一部、女子は、キャーキャー言っていましたが、
 いつも、無駄に威張って、人を威嚇するような人間だったので
 ヤンキー軍団と仲が良かった私ですが、彼とは
 話した事がありませんでした。

 『相変わらず、いきがったーるよ。』
 心の中で、しらける私。

K君、と言うのですが、彼はじろっと教室の中を
 睨みをきかせ、眺め、ビリヤードを始めました。

 でも、下手くそだったのでしょう。

 『ガッシャーン!!!!!!!!』

  と、派手な音がして、びっくりしてそちらを見ると、
 K君が突いた玉が検討違いに跳ね、窓ガラスを割ったのです。

教室にいた数人で、その様子を見ていました。

 すると、K君は、近くにいた、一般ピーポー男子に
  どすを聞かせた声で

 『これ、片付けしとけよ』

 と、言い放ったのです。誰しもが、その時驚きを
 隠せませんでした。
 言われた男子は、急いで掃除用具の所に、駆けていきます。

 あーもう、限界!!

 『ちょー、待てや!』

 私は、とっても温厚な人間です。でも、正しくないことを
 見過ごせるほど、鈍感な人間ではありません。

 私の声に、更に驚く皆。友達が、私の横で小さくささやく。

 『やめときーよ。』

  私は、それを無視して、K君にまくしたてた。

『あんさー、それ、自分やったんちゃうのん?なんで、あんたが
 やった事を誰かが、尻拭いせなあかんわけ?
  自分でしてしもたんなら、自分で掃除するんが当たり前やろ?
  普通。ちゃう?!』

 K君が、つかつかと近寄ってきて、私の胸ぐらを掴む。

 私は、内心超、びびりながらも

 『殴るんやったら、殴れや!女、殴るなんてかっこえーなー。』

 と、心とは裏腹に出てくる言葉は、強気。

  K君は、迷っていたけど、私から手を放すと、教室を
 出て行きました。

  しばらくして、教室中から、盛大な拍手を頂きました。


 これが、私の忘れられない文化祭のエピソード。

 K君は、今、お父さんになっています。
 たまに、見かけるのですが、高校の時の尖がった彼ではなく、
 柔和な笑顔を見せる『お父さん』に、変わっていました。

 見かけるたびに、声をかけてあの時の事を
 話したい、と思う私は、意地悪なんでしょうかねー(笑)
 まあ、そんな意地悪はしませんけど。

 時の流れを、こうやって感じるのもなかなか楽しいものですね。

 闘った文化祭で、果たして私は勝ったのでしょうか?

 いや、勝ち負けなんて、関係ないですよね。
 今は、こうして良い想い出になっているのですから。

  あんなに、熱くなった文化祭は、後にも先にもあの時だけでした。


プロフィール

翡翠と申します。皆様の、内容のある作品を拝見しながら
  日々、勉強させて頂いております★

 私の作品は、ちょいエロな上に駄文で・・。
  申し訳ない限りですが(-_-;)


  頭の中の風景をできるだけ鮮明に、切り取って
  描写できるようになりたいお年頃です。

  女、として生きています。

  そして、女としての才能はあるのかもしれませんが、
  人間としての価値はありません。

  何事においても、アンバランスで危うい女ですが、
  どうぞ、温かい目で見てやって下さいね(*^_^*)

   皆様、よろしくお願い致します♪

執筆作品の感想(感想はこちらをクリック



お勧めの本